400Ω負荷12B4A×2SEPPOTLアンプ  平成24年10月20日  

  1. はじめに
       手元に40年前のカラーTVから取り外したVCインピーダンス400Ωの18cmウーハーが2個あったので、どんな音が出てくるかテストするためにこのアンプを製作することにした。


    VC400Ω 入力3Wと記載された松下製18pウーハーの18P24A


     今年7月に自作した12B4ASRPPの最大出力は2W強であったので、もう少し出力を上げるためにSEPPOTLに改造する。ヘッドホン端子はそのまま残して、ヘッドホンアンプとしても使用可能とする。(ハイロー切り替え式)

  2. 使用部品
     シャーシーは12B4ASRPPヘッドホンアンプに使用していたのものを流用し、背面に赤黒のSP接続端子を増設した。
     電源トランスはタンゴPH−100を使用、CHコイルはタンゴの3H250(250mA)ではオーバースペックであることからノグチPMC−415Hに交換した。 真空管などの主要部品はすべて流用した。

  3. 回路構成
       回路は平成18年に製作したヘッドホンアンプとほぼ同じで、初段は12AX7による差動型位相反転回路、ブートストラップ方式、電源接地、出力コンデンサー方式を採用することにしたが、400Ω負荷であれば出力コンデンサーもあまり大きい容量は必要ない。 また、初段の定電流ダイオードは1.5mAに変更した。
     出力段は固定バイアス方式とし、無信号時のプレート電圧334V、プレート電流29mAである。 12B4Aの最大プレート損失5.5Wに対して88%で少し多めであるが、負荷400Ωで使用した場合の最大出力時におけるプレート損失は5.5Wを僅かにオーバーする程度である。
     電源片側接地方式のSEPPでは上段のカソード電位がH-K間電圧が定格(12B4Aでは±100V)を超えるため、他球との共用は避けた方が賢明である。 このアンプでは、上段ヒーターを別回路とした。なお、ヒーター回路を0.47μFで接地しているが、このコンデンサーを省略すると60HZがかなり混入する場合があるので注意が必要である。 他球にはヒーターバイアス47Vをかけている。

  4. 測定結果
       NFBは8.8dB、DFは8であった。残留雑音は左CH0.4mV、右CH0.3mVで400Ω負荷としては非常に優秀である。 左CHの雑音が多い原因は電源トランス、CHコイルの存在が影響していると思われる。
     入力電圧3.2Vで最大出力4.8Wが得られた。入力感度が少し低いのでちょっと扱い難いが、ヘッドホン使用時は全く問題ない。 初段を5極管にしてPK分割回路に変更した方が使い勝手が良いと思われる。NFBも増加させることが出来るので、もう少し歪率の低下が望める。
     しかしながら周波数特性は低域から高域まで非常によく伸びている。また、10HZから80KHZまで4W以上の最大出力が得られている。
     NFB抵抗並列の微分型位相保証用の47PFはなくても問題ないが、その場合200KHZ以上まで伸びることになるので取り付けた。 容量負荷時の矩形波応答は小容量ではほとんど変化なく、並列容量を増加させると立ち上がりが丸く変化するのみであった。
     8.8dBのNFBにも関わらず、1KHZ1W時の歪率は0.2%未満、4W時でも0.6%未満であるが、10KHZの歪率は芳しくない。

  5. その他
     今更ながらOTLアンプは高インピーダンス負荷では本領を発揮する。以前のように高インピーダンススピーカーが製造されていないことが残念である。
     SPボックスの改造が終わってなく、ヘッドホンでの試聴はできたが、肝心のSPでの試聴は現在のところ出来ていない。

     SPボックスを改造し、400Ωウーハーをスコーカー(160HZ〜1600HZ)として試聴したが、磁石が非力なためピアノのアタック音が再生出来なかった。 このアンプはヘッドホン専用として使用するしかないようである。


背 面 写 真

内 部 写 真
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