17KV6A×6SEPPOTLアンプ   平成22年4月15日 




  1. はじめに
     現在高音用に使用している17KV6A×4SEPPOTLは最大出力7.5W程度で、歪も少し多めである。 3結時の内部抵抗が少し大きいため2パラよりは3パラの方が最大出力、歪の面から見てもはるかに有利である。
     そこで、17KV6Aを片CHに6本使用してSEPPOTLアンプを製作することにした。

  2. 17KV6Aの特徴
     17KV6Aという球はあまり馴染みがないが、ノーバル9ピンのずんぐりしたビーム管である。規格は下記の通り。

      (1)最大プレート損失28W、最大プレート電圧900V
      (2)最大スクリーングリッド損失2W、最大スクリーングリッド電圧220V
      (3)ヒーター電力は10.08W(16.8V/0.6A)でEL34よりも大きく、KT88クラスと同じ
      (4)3結時のμは4
      (5)プレート特性図は公表されていないが、3結時の内部抵抗は300Ω前後

     以上の特性から、3パラで18W/8Ω程度の出力が得られることになる。しかも、プレート損失は28Wであるから、かなり余裕の動作が期待できる。
     並列本数プレート電圧対最大出力は17KV6A(6KV6A、22KV6A)SEPPOTLの最大出力 を参照されたい。

  3. 使用部品
     シャーシーはSL−10の天板を交換したものを使用した。古いシャーシのため、サイドに穴があいていたので、目隠しに木板を取り付けた。 電源トランスは以前36LW6×4SEPPOTLアンプ1号機に使用していた特注品である。第1B電源に300V(1A)のタップがあり、容量的には十分である。 カバーなしのバンド型であったので、黒色つや消し塗装のアルミカバーを自作して取り付けた。

  4. 回路構成
     初段はECC83のSRPP、位相反転段は6CG7カソード結合型に6BQ5による定電流回路を付加したものである。 17KV6Aのバラツキが大きいのでバイアス調整回路は個別方式とした。そのため、6CG7のプレート抵抗を50KΩとしても交流負荷は約20KΩとなっている。 プレート供給電圧が400V以上であるため、この条件でもピーク値で43Vは可能である。17KV6Aのバイアス電圧は−34V前後。
     無信号時における17KV6Aプレート電流は70mAにセットした。プレート電圧194Vの時のプレート損失は13.6Wである。 最大出力時のプレート損失は36W程度となり、定格の20%強の超過で収まっている。OTLアンプとしては十分余裕のある動作である
     3パラとした理由はもう一つある。ヒーター電圧が16.8Vであることから、6本直列にしてAC100Vから供給出来ることである。
     第1B電源は300V1Aのブリッジ整流であるから、DC最大出力電流は640mAと十分過ぎるほどである。 第2B電源は160V100mAの倍電圧整流でDC32mAの容量である。
     なお、今回は定増幅型DFコントロール回路は付けていない。

  5. 測定結果
     3パラとした効果は大きく、1W時の歪率は半分以下まで低下した。特に100HZの歪率は1/3以下まで低下した。 
     高域補償が過度となっている影響で、高域は100KHZで−3dBとOTLアンプとしては少々低い。 矩形波応答でも10KHZの立ち上がりが少し丸くなっている。 その代わりに容量負荷テストは0.1μFでほとんど変化なし、0.47μFで少しオーバーシュートが発生しているのみである。 NFBが17.6dBと少し多いにも関わらず、高域の安定性には全く問題ない。
     なお、残留雑音はどちらも0.2mV未満、DFは7.7(ON−OFF法)であった。

  6. 最大出力
     最大出力は入力0.6Vで17.5W/8Ωが得られた。計算値を少し下回っているが、16Ω負荷では25W以上に達する。

  7. その他
     現在、17KV6Aは1000円/本程度で、ノーバル9ピンソケットは600円/個程度で入手可能である。 ソケットの入手先は限られているが、タイト製ではなく樹脂製であるにも関わらず真空管本体と比較して価格が高いことが欠点である。


内  部  配  線


背  面  写  真

カバーを外した電源トランス
自作トランスカバー(アルミ黒つや消し塗装)

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