23JS6A×2マッチングトランス付SEPPアンプ  令和元年9月6日 


23JS6A×2マッチングトランス付SEPPアンプ

  1. はじめに
     手元に水平出力管の23JS6Aが残っていたので、この球を使ったマッチングトランス付SEPPアンプを製作することにした。
     23JS6Aを使ったSEPPアンプの負荷抵抗対最大出力の関係は6JS6ASEPPアンプの最大出力を参照されたい。
  1. 使用部品
     シャーシーは奥澤製O−4を使用し、両サイドに水性ニスを塗った側板を取り付ける。
     電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはノグチトランス製PMC−0930(0.9H300mA)2個と同じくノグチトランス製PMC−1006を1個使用する。 マッチングトランスはタンゴ製10244を使用する。 このマッチングトランスはオリエントコアーが使用され、1次側64Ω、2次側8Ω、容量60Wである。
     CHコイル1個と560μF400V電解コンデンサー4個はリード製PL−4に収めて取り付ける。
     出力管は23JS6A、初段は12AU7A、ドライバー段は6463を使用する。 6463は12BH7Aと似た特性であるがピン接続が異なるので注意が必要である。 共通カソードに接続する定電流回路には6CL6を3極管接続として使用する。

  2. 回路構成
     出力段用第1B電源は左右別とし、それぞれ280V250mAをブリッジ整流して±181V、最大DC160mAを供給する。 ドライバー段用第2B電源は170Vを倍電圧整流して供給する。 バイアス電源は4組の50V30mAをブリッジ整流して供給する。 無信号時のプレート電流は100mAに設定、その時のプレート損失は18.1W、最大定格28Wに対して約65%となっている。
     打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6CL6のカソードへ帰還電圧を注入する。
     NFBは1次側と2次側をSWで切り替えが出来るようにする。 はじめ段間の時定数を0.1μF×100KΩとしていたが10HZ未満の帯域でピークが発生していたので0.22μF×220KΩ(下段は0.47/2×220KΩ)に変更した。

  3. 測定結果
     1次側からNFBをかけた場合、450KHZ付近にピークが観測されたが、2次側からのNFBではピークが消えた。 高域遮断周波数は1次側からのNFBでは45KHZ付近、2次側からのNFBでは125KHZ付近となった。
     周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無かった。
     NFBは約10dBに設定、残留雑音は左右CH共0.3mV程度であった。 DFは1次側から帰還した場合は2.3、2次側から帰還した場合は4.3で少し小さい。

  4. 最大出力
     入力1.36Vでクリップ開始出力12W(1KHZ)が得られたが、最適負荷抵抗は150Ω辺りと思われる。
     10HZにおける最大出力は中域の40%程度まで低下しているが、20HZでは中域の約75%が得られている。

  5. その他
     シャーシー上面にテストピンを左右に取り付け、DCバランスとプレート電流測定の切り替えSWを取り付けた。 また、出力段のバイアス調整は10KΩ2連VRを4個使用している。 この方式は単連VR4個を使用した場合と比較して調整時の利便性が向上する。 難点は2連VRの価格が高いことである。
     下段のカップリングコンデンサーの耐圧は630Vでは不足するので必ず750V以上のものを使用しなければならない。 今回は450V0.47μFを2個直列で使用した。
     使用したMTは少し1次側インピーダンス低すぎたようで、最大出力が少し小さく、ひずみも多めとなった。 167Ωの製品(W2−ST60)を使用すれば最大出力の増加、ひずみの低下が期待できるのではないだろうか。

     このアンプは令和元年11月にMTをW2−ST60に交換し、 23JS6A×2MT付SEPPアンプ2号機 となった。

バイアス調整、PPバランス調整用VRとテストピン


内部配線


背  面  写  真

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