25E5×2MT付SEPPアンプ  令和4年3月2日 




  1. はじめに
     25E5はヨーロッパ名PL−36の白黒TV用の水平出力管である。 ヒーター電圧が25VであることからPPアンプやSEPPアンプなど4の倍数使用する場合、4本直列でヒーターをAC100Vに接続出来るので便利である。
     古いMJ誌に25E5を片CH当たり4本使用した低RLSEPPOTLアンプが掲載されていた。 今回は片CHに2本使用したマッチングトランス付きで製作する。 6GB3とほぼ同等の約10Wが得られると思われる。
  1. 使用部品
     シャーシーは奥澤製O−8にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドには水性ニスを塗った側板を取り付ける。
     電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはPMC-0930H(0.9H300mA)を2個、PMC-1006H(10H60mA)1個を使用する。
     マッチングトランスも西崎電機特注品でオリエントコアー厚み40o、1次4分割、2次5分割のサンドイッチ構造である。 このマッチングトランスの規格は1次側128Ω、2次側8Ω、容量25Wとなっている。
     25E5は手持ち10本の中から選別して使用する。初段は6AQ8によるSRPP、位相反転ドライブ段は6CG7(EH製)を使用する。 共通カソードに接続する定電流回路は12BY7A(松下製)を3結で使用する。

  2. 回路構成
     出力段用第1B電源は左右別とし、それぞれ280V200mAをブリッジ整流して±189V、最大DC120mAを供給する。 ドライバー段用第2B電源は170Vを倍電圧整流して供給する。 バイアス電源は4組の50V30mAをブリッジ整流して供給する。
     打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から12BY7Aのカソードへ帰還電圧を注入する。
     NFBは1次側と2次側をSWで切り替えが出来るようにする。

  3. 測定結果
     周波数特性ではLCHで120KHZ、RCHで115KHZと450KHZ付近にディップが発生していた。 左右の違いはマッチングトランスの特性と思われる。
     高域の遮断周波数は1次側から帰還した場合は約36KHZ、2次側から帰還した場合は約70KHZとなった。
     周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無かった。
     NFBは約10.3dB、残留雑音は左右とも0.3mV程度であった。 DFは1次側から帰還した場合は2.7、2次側から帰還した場合は5.1であった。 1次側からの帰還では2次側巻き線抵抗値の影響を受けて少し低くなった。

  4. 最大出力
     Lchは入力0.56Vでクリップ開始出力9.3W、Rchは0.57Vで9.7Wが得られた。いずれも1KHZ。
     10HZにおける最大出力は中域の80%程度が得られ、低域特性は優秀である。MTのコアーを40oにした結果と思われる。

  5. その他
     シャーシー前面にテストピンとDCバランスとプレート電流測定の切り替えSWを取り付けた。前面写真参照。 また、バイアス調整用として2連VRを使用し、上面から調整できるように設置したので、テスターとマイナスドライバーがあれば比較的容易に調整できる。 下の写真参照。
     下段のカップリングコンデンサーの耐圧は630Vでは不足するので必ず800V耐圧以上のものを使用しなければならない。
     出力段B電源は必ず左右別としなければならない。共用した場合はMTに直流が流れインダクタンスが低下し、低域の特性が悪化する。 しかし、市販品電源トランスの中にSEPPアンプ用の製品は見当たらなく、特注せざるを得ないことがネックである。


          
    シャーシー上面 バイアス調整用VRとDCバランス調整用VR               電解コンデンサーとCH


    内 部 配 線


    背 面 写 真

inserted by FC2 system