- 使用部品
シャーシーは奥澤製O−8にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドには水性ニスを塗った側板を取り付ける。
電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはPMC-0930H(0.9H300mA)を2個、PMC-1006H(10H60mA)1個を使用する。
マッチングトランスも西崎電機特注品でオリエントコアー厚み40o、1次4分割、2次5分割のサンドイッチ構造である。
このマッチングトランスの規格は1次側128Ω、2次側8Ω、容量25Wとなっている。
25E5は手持ち10本の中から選別して使用する。初段は6AQ8によるSRPP、位相反転ドライブ段は6CG7(EH製)を使用する。
共通カソードに接続する定電流回路は12BY7A(松下製)を3結で使用する。
- 回路構成
出力段用第1B電源は左右別とし、それぞれ280V200mAをブリッジ整流して±189V、最大DC120mAを供給する。
ドライバー段用第2B電源は170Vを倍電圧整流して供給する。
バイアス電源は4組の50V30mAをブリッジ整流して供給する。
打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から12BY7Aのカソードへ帰還電圧を注入する。
NFBは1次側と2次側をSWで切り替えが出来るようにする。
- 測定結果
周波数特性ではLCHで120KHZ、RCHで115KHZと450KHZ付近にディップが発生していた。
左右の違いはマッチングトランスの特性と思われる。
高域の遮断周波数は1次側から帰還した場合は約36KHZ、2次側から帰還した場合は約70KHZとなった。
周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無かった。
NFBは約10.3dB、残留雑音は左右とも0.3mV程度であった。
DFは1次側から帰還した場合は2.7、2次側から帰還した場合は5.1であった。
1次側からの帰還では2次側巻き線抵抗値の影響を受けて少し低くなった。
- 最大出力
Lchは入力0.56Vでクリップ開始出力9.3W、Rchは0.57Vで9.7Wが得られた。いずれも1KHZ。
10HZにおける最大出力は中域の80%程度が得られ、低域特性は優秀である。MTのコアーを40oにした結果と思われる。
- その他
シャーシー前面にテストピンとDCバランスとプレート電流測定の切り替えSWを取り付けた。前面写真参照。
また、バイアス調整用として2連VRを使用し、上面から調整できるように設置したので、テスターとマイナスドライバーがあれば比較的容易に調整できる。
下の写真参照。
下段のカップリングコンデンサーの耐圧は630Vでは不足するので必ず800V耐圧以上のものを使用しなければならない。
出力段B電源は必ず左右別としなければならない。共用した場合はMTに直流が流れインダクタンスが低下し、低域の特性が悪化する。
しかし、市販品電源トランスの中にSEPPアンプ用の製品は見当たらなく、特注せざるを得ないことがネックである。
シャーシー上面 バイアス調整用VRとDCバランス調整用VR 電解コンデンサーとCH
内 部 配 線
背 面 写 真
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