36LW6×2MT付SEPPアンプ  平成26年6月26日 




  1. はじめに
     このアンプは平成26年6月に製作したPhilips型対称ドライブ36LW6NEPPアンプのマッチングトランスをオークションで入手したPanasonic W2−ST60型に交換し、通常のSEPPに変更して製作したものである。

  2. 使用部品
     シャーシー(奥澤O−9)、電源トランス(西崎電機特注)、真空管などの主要部品はそのまま流用し、マッチングトランスのみ交換した。、
     CHはノグチトランスのPMC−0930Hをシャーシー内に取り付けた。
     使用したW2−ST60は1次167Ω−84Ω−COM、2次側16Ω−8Ω−4Ω−COM、容量は60Wのものである。リード線が上部から引き出されていたので、取付金具の位置を変え、下部引き出し型に変更した。 なお、現行品のW2−ST60は2次側が8Ω−6Ω−4Ω−COMに変更されている。

  3. 回路構成
     初段は12AT7のSRPPに、位相反転回路は12BH7Aによるカソード結合型に変更した。カソード抵抗の代わりに12AT7による真空管抵抗を使用した。
     打ち消し回路は最初ブートストラップ型としていたが、最終的にPNF型で落ち着いた。
     NFBをMT2次側から戻した場合、容量負荷時のリンギングが大きいようなので、1次側に変更した。この場合は位相補償回路はMT2次側のゾベル回路(0.1μ×18Ω)のみである。

  4. 測定結果
     周波数特性では目立ったピークやディップはなく、10KHZの矩形波応答は全く問題なく、歪率もかなり良好な結果が得られた。
     NFBは16dB強、残留雑音は左右とも0.25mV、DFは8.8(ON−OFF法)であった。 1次側からNFBではDF増加には限界があり、余り大きくすることはできないが、8.8であれば十分と思われる。

  5. 最大出力
     最大出力は入力1.4Vでクリップ開始14.5W/8Ωが得られた。
     計算上の最大出力21Wを大きく下回った原因は使用したGEの36LW6と思われる。
     W2−ST60は高域特性が優秀で、1次側からのNFBにも係わらず高域カットオフは72〜75KHZ付近、低域も20HZで中域の85%程度の最大出力が得られたが、流石に10HZでは磁気飽和を起こして4W未満まで下がった。
     2次側16Ω端子に8Ωを接続した時は最大出力が少し低下した。最適負荷は120Ω辺りと思われる。 いずれにしても、巻き数の少ないMTはなかなか優秀な特性である。

  6. その他
     このアンプはテストポイント(TP1〜TP4を設け、さらにバイアス調整用VR2ヶ所と打消し回路のVRをラグ板の裏側に取付、シャーシー上面からドライバーで調整可能とした。 MQ−36のようにメーターまでは装備していないが、これでも調整が裏蓋を外す必要なく簡単に行えるようになった。



左CH内部配線


右CH内部配線


背  面  写  真

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