36LW6×2マッチングトランス付SEPPアンプ2号機  令和3年9月24日 




  1. はじめに
     36LW6MT付SEPPアンプは以前にも製作したが、今回はより使い勝手の良い、メンテナンスも容易に実施できる構成で製作する。
     36LW6を使ったSEPPアンプの最大出力は36LW6SEPPアンプの最大出力を参照されたい。
  1. 使用部品
     シャーシーは奥澤製O−4にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドには水性ニスを塗った側板を取り付ける。
     電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはPMC-0930H(0.9H300mA)を2個、PMC-1006H(10H60mA)1個を使用する。
     マッチングトランスはタンゴ製(No.10244)を使用する。 このマッチングトランスの規格は1次側64Ω、2次側8Ω、容量60Wとなっている。
     端子が上面に設置されていたので取り付け金具の位置を変更して使用する。 その場合、端子先端がシャーシーに触れる恐れがあるためM−4ナット1個分持ち上げることにする。
     36LW6は手持ち30本の中から選別して使用する。初段は12AT7(NEC製)によるSRPP、位相反転ドライブ段は6FQ7(東芝製)を使用する。 共通カソードに接続する定電流回路には東芝製6CL6(T)を使用する。

  2. 回路構成
     出力段用第1B電源は左右別とし、それぞれ250V350mAをブリッジ整流して±165V、最大DC220mAを供給する。 ドライバー段用第2B電源は170Vを倍電圧整流して供給する。 バイアス電源は4組の50V30mAをブリッジ整流して供給する。
     打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6CL6(T)のカソードへ帰還電圧を注入する。
     NFBは1次側と2次側をSWで切り替えが出来るようにする。

  3. 測定結果
     高域にピークやディップの発生はなく、素直に減衰していた。 高域の遮断周波数は1次側から帰還した場合は約36KHZ、2次側から帰還した場合は約90KHZとなった。 超高域で左CHの減衰量が多くなっている原因はMTの特性と思われる。
     最低ひずみ率は少し良くないが4Wまで0.1%以下に収まっていてまずまずの結果が得られた。
     周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無かった。
     NFBは約12dB、残留雑音は左右とも0.3mV程度であった。 DFは1次側から帰還した場合は3.0、2次側から帰還した場合は7.2であった。 1次側からの帰還では2次側巻き線抵抗値の影響を受けて少し低くなった。

  4. 最大出力
     入力0.6Vでクリップ開始出力14W(1KHZ)が得られた。 36LW6SEPPアンプの最大出力で推定される最大出力を少し下回る結果となった。
     10HZにおける最大出力は中域の50%程度まで低下していたが、20HZでは中域の約90%が得られていた。

  5. その他
     シャーシー前面にテストピンとDCバランスとプレート電流測定の切り替えSWを取り付けた。前面写真参照。 また、バイアス調整用として2連VRを使用し、上面から調整できるように設置したので、テスターとマイナスドライバーがあれば比較的容易に調整できる。 下の写真参照。
     下段のカップリングコンデンサーの耐圧は630Vでは不足するので必ず1000V耐圧以上のものを使用しなければならない。 入手できない場合は0.22μF(500V耐圧以上)を2個直列で代用できる。
     出力段B電源は必ず左右別としなければならない。共用した場合はMTに直流が流れインダクタンスが低下し、低域の特性が悪化する。 しかし、市販品電源トランスの中にSEPPアンプ用の製品は見当たらなく、特注せざるを得ないことがネックである。


    シャーシー上面 右下はタイムリレー(30s)


    内 部 配 線


    背 面 写 真 (出力管と電解コンデンサーの間に熱遮蔽板設置)

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