36LW6×4SEPPOTLアンプ3号機  平成20年7月22日





  1. はじめに
     このアンプは電源部以外は36LW6×4SEPPOTLアンプ2号機とほとんど同じ回路構成で製作したものである。 この回路方式ではすでに多くの自作を重ねてきたので安心である。

  2. 電源トランス
     36LW6用に36V1A巻き線2組を追加、第1B電源の容量を60%弱に小さくしたものを特注した。 最大出力時のプレート電流は2本で650mA以上に達し、電流容量の50%超過である。 しかし、実際の使用状態ではまったく問題なく、温度上昇も30度程度である。

  3. シャーシー
     シャーシは「鈴蘭堂」のSL−10が製造中止となったが、「タカチ」に同サイズのSRDSL−10HSがあったので、これを使用することにした。 電解コンデンサーをシャーシー裏側から取り付けるためには、従来のφ30mmではなくφ39mmの穴あけが必要であるが、3.5mmの穴を数珠繋ぎにし、ヤスリで仕上げる作業が一番大変であった。

  4. 回路構成
     PTに36V1A巻き線2組を追加したことにより、36LW6はDC点火からAC点火に変更した。
     初段の12AX7(ECC83)によるSRPPは同じ、位相反転(ドライバー)段は12BH7A、カソードに挿入する定電流回路は6AR5の3結に変更した。 第2B電源はAC160V(100mA)の倍電圧整流である。
     なお、負荷が16Ωの場合、打ち消し回路の定数を変更出来るように切り替えSWを取り付けた。 これにより歪率は1/10に低下させることが出来たが、スピーカー実装ではインピーダンスが大きく変化するため、気休め程度かも知れない。

  5. 最大出力
     最大出力は8Ω19W、16Ω25Wと少し小さくなったが、第1B電源の容量とCHコイル(DCR7Ω)による電圧降下が影響していると思われる。

  6. 初段、位相反転段の調整方法
     打ち消し回路定数の決定は歪率計を併用しなければ完璧には調整できない。出力管を換えれば再調整しなければならない。 また、ドライブ管を換えても再調整が必要となる場合が多い。別の見方をすれば、それだけ球特性のバラツキが大きいと言うことである。
     初段、位相反転段直結部分の電圧配分は、SRPP上段のカソード抵抗とデカップリング抵抗で調整し、100〜120V付近に合わせれば良い。 なお、SRPP上段のカソード抵抗値と直結部分の電圧は反比例する。一般に、上段のカソード抵抗値を下段より大きくした方が好都合である。
     また、位相反転段(12BH7A)のプレート電流は定電流管(6AR5)のカソード抵抗で調整する。抵抗値を大きくすればプレート電流が小さくなる。 12BH7Aのプレート電流は1ユニット当たり3〜4mAに設定する。さらに、オシロスコープで上下が同時にクリップすることを確認すれば万全である。

  7. 出力段の調整方法
     この部分の調整には少なくともテスターが2台以上必要で、1台ではなかなか難しく、3台あれば十分である。 その際、使用するテスターリード線は蓑虫クリップに交換した方が操作性が抜群に良い。
     以降はSEPPOTLアンプ出力段の調整 を参照されたい。

  8. その他の注意事項
     最初、36LW6のトッププレートに至る配線を同じ穴から引き出していたが(下左写真)、出力を上げて行く段階で10W付近から寄生発振を起こしたので、従来の方法(下右写真)に変更した。


    寄生発振を起こした配線方法と従来の個別配線方法


    内 部 写 真

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