36LW6×4SEPPOTLアンプ5号機  平成22年7月20日




  1. はじめに
     このアンプは、以前制作した36LW6×4SEPPOTLアンプ2号機と4号機を分解し、主要部品を流用して製作したものである。 最初、フッターマンH3型(プレート電圧<スクリーン電圧)として設計し、先に片チャンネルのみ製作したが、DCバランスの安定性がまったくダメであった。
     DCバランス不良の原因はスクリーン電圧の安定性が悪いためと思われる。 6BM8を使った安定化電源を組み込んでいたが、僅かな変動でもプレート電流が大きく変化してまったく実用にならなかった。 フッターマンH3型アンプの難しさを改めて痛感した。
     結局、3極管接続に変更して製作した。そのため、2号機とほとんど同じ回路構成で部品配置を変えただけとなってしまった。
  1. 使用部品
     シャーシは2号機で使用していた鈴蘭堂「SL−10」の天板(アルミ2mm)を交換し、両サイドには水性ニスを塗った木板を取り付けたものを使用した。
     電源トランス、平滑用電解コンデンサー、CHコイルも同じく2号機からの流用である。 4号機からはトランスカバー(黒つや消し塗装)、36LW6ヒーター電源用電解コンデンサー、整流用FRダイオード等である。
     出力管の36LW6は手持ちの24本からペアー管を選別して組み合わせた。
    右表はそのデータ、下表はその組み合わせである。
     gm(相互コンダクタンス)は凾hp/凾dcの絶対値として求めることが出来るが、右の表では凾dcを10Vで計算しているため、概算gmとした。
     見ての通り、かなりのバラツキがみられるので、個別バイアス方式で対応することにした。
  2. 回路構成
     回路構成は36LW6×4SEPPOTLアンプの1号機、2号機、3号機、4号機とほぼ同じである。 この回路方式ではすでに多くの自作を重ねてきたので安心である。
     初段は6414によるSRPP、位相反転(ドライバー)段は12BH7A、カソードに挿入する定電流回路には6CW5を使用した。 第1B電源(出力段用)はAC240V(1.2A)をブリッジ整流し、±157V(750mA)を供給している。 また、第2B電源(初段、ドライバー段用)はAC160V(100mA)を倍電圧整流し、426V(32mA)を供給している。 両巻き線とも無信号時電流は40%前後の使用率である。

  3. 最大出力
     クリップ開始出力21W/8Ωが得られたが、他の36LW6の2パラ構成とほぼ同じである。16Ω負荷では30W以上が得られ、しかも歪率はかなり低下する。
  1. 測定結果
     無信号時のプレート損失は163mA×157V=25.6W(最大許容損失の58%)である。 また、最大出力時のプレート損失は360mA×147V−21W/4=47.7Wとなり、最大許容損失に対して僅かに超過しているが、低RLOTLアンプでは50%程度の超過は普通であるからまったく問題ない。
     容量負荷試験では0.1μFでわずかに変化が見られ、0.47μF並列で少しリンギングが発生している。 位相補償は負帰還抵抗に並列の240PFのみである。 高域周波数特性は130KHZで−3dB、低域は10HZまでほぼフラット、1MHZまでの高域にピークは発生していない。
     NFBは11.5dB、残留雑音はRLchともに0.15mV、DFは4.5(ON−OFF法)であった。

  2. その他
     シャーシー上にスクリーン電圧安定管を取り付ける予定であった9PMTソケット2個が無様に残っているが、正面からはあまり目立たないのでそのままにしている。内部写真参照。


背 面 写 真


内 部 写 真

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