直結カソードフォロアードライブ36LW6×4SEPPOTLアンプ8号機
平成25年5月15日





  1. はじめに
     このアンプは、平成23年7月に制作した全帰還型36LW6×4SEPPOTLアンプ6号機を直結カソードフォロアードライブ形式に改造したものである。
  1. 使用部品
     主要部品はすべて流用した。 以前、SG安定化電源として使用する予定であった2個の9PMT管ソケットが空いていたので、カソードフォロアー段(12AU7)に使用することにした。 出力管の36LW6は手持ちの30本からペアー管を選別して組み合わせた。
  2. 回路構成
     回路構成は36LW6×4SEPPOTLアンプの5号機のドライブ段と出力管の間にカソードフォロアー回路を挿入した。 36LW6にかなりのバラツキがみられるので、少し回路が複雑化することを覚悟の上で個別にカソードフォロアー段を設けてバイアスが調整可能とした。
     カソードフォロアー段のマイナス電源は40V100mAを倍電圧整流して供給した。プレート電源は出力段から供給した。
     下段プレートをどこに接続するかであるが、アースに接続した場合は上段下段カソードフォロアーの電流が負荷を経由して流れるため都合が悪い。
     そこで出力ラインから供給することにしたが、今度は出力電圧が下段カソードフォロアー段プレート電圧に重畳されることになる。 その結果、ほぼ100%の負帰還が掛った状態となるが、もともと出力点から位相反転段へ負帰還を戻す予定であるから全く問題なく動作している。
     初段は6414によるSRPP、位相反転(ドライバー)段は6463、カソードに挿入する定電流回路には6CW5を使用した。 6463の特性はほぼ12BH7相当であるがピン配列が異なっているので注意が必要である。 6414、6463、6CW5は全てバンテックから購入したもので、〆て1400円と格安である。
     第1B電源(出力段用)はAC240V(1.2A)をブリッジ整流し、±160V(750mA)を供給している。 また、第2B電源(初段、ドライバー段用)はAC160V(100mA)を倍電圧整流して供給している。

  3. 最大出力
     クリップ開始出力27.4W/8Ωが得られたが、他の36LW6の2パラ構成の約30%増である。直結カソードフォロアードライブの効果はSEPPOTLでも実証された。 16Ω負荷では40W程度が得られ、しかも歪率はかなり低下する。
  1. 測定結果
     無信号時のプレート損失は120mA×160V=19.2W(最大許容損失の45%)である。 また、最大出力時のプレート損失は400mA×145V−27.4W/4=51W強となり、最大許容損失に対して僅かに超過しているが、低RLOTLアンプでは50%程度の超過は普通であるからまったく問題ない。
     容量負荷試験では0.1μFでわずかに変化が見られ、0.47μF並列で少しオーバーシュートが発生している。 位相補償は負帰還抵抗に並列の微分型240PFと初段SRPP下段プレートに挿入した50PF+15KΩの積分型である。 高域周波数特性は230KHZで−3dB、低域は10HZまでほぼフラット、1MHZまでの高域にピークは発生していない。
     NFBは11.4dB、残留雑音は左右ともに0.4mV前後、DFは4.3(ON−OFF法)であった。
     100HZの低出力時歪率が1KHZ、10KHZと比較して悪いことが気に入らないが、直結カソードフォロアー段用マイナス電源の辺りで混変調歪を発生している影響と思われる。



背 面 写 真


内 部 写 真
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