40KG6A×2MT付SEPPアンプ3号機  令和2年7月15日 




  1. はじめに
     先日、茨城県のT氏へ40KG6A×2MT付SEPPアンプを試聴用としてお貸ししたところ、非常に良いとの評価を頂いた。 そこでT氏用に電力感度を下げた40KG6A×2MT付SEPPアンプ3号機を製作することにした。

  2. 使用部品
     電源トランスは西崎電機特注品、チョークコイルはPMC−0930Hを2個、PMC−1006Hを1個使用する。 マッチングトランスはソフトン製MT−72を使用する。 規格は72Ω〜16Ω〜8Ω〜4Ω〜COMの単巻構造で、容量は56W(30HZ)である。 今回使用したMT−72はケースなしであったため、ギャレットオーディオ製トランスカバーTCN102(85×85×100)を取り付ける。
     使用真空管は12AU7 2本、12BH7A 2本、6CH6 2本、40KG6A 4本である。 電力感度を下げるため初段には低μ管を使用する。 シャーシーは奥澤製O−4にアルミ用シルバーメタリック塗装して使用する。 側面には水性ニスを塗った木板を取り付ける。

  3. 回路構成
     初段は12AU7のSRPP、位相反転ドライバー段は12BH7Aで、共通カソード定電流管に6CH6を使用する。 MTが単巻構造のためNFBは72Ω端子から初段カソードへ帰還する。
     前段用B電源は170V120mAを倍電圧整流して供給する。出力段用B電源は左右別で280V250mAをブリッジ整流して供給する。
     SEPPアンプに必要な打ち消しはPNFB方式とする。 カソード結合型位相反転回路のカソード抵抗に6CH6(3結)を使用し、打ち消し電圧は6CH6のカソードに注入する。

  4. 測定結果
     周波数特性ではピークやディップはなく、10KHZの矩形波応答は全く問題な無い。歪率もかなり良好となった。 最適負荷抵抗は90Ω前後である。40KG6A(6KG6A)SEPPアンプの最大出力を参照。
     NFBは約11dB、残留雑音は左右とも0.1mV、DFは4.5(ON−OFF法)であった。 前作と比較してNFBが少ないためDF値が低くなったが、残留雑音は低下した。前段用B電源にCHコイルを使用した効果と思われる。
     最大出力は入力2.6Vでクリップ開始22.5W/8Ωが得られ、前作よりかなり大きくなったが、B電源電圧が高い結果と思われる。
     使用したマッチングトランスは非常に優秀で10HZ−0.1dB、155KHZ−3dB、1MHZまでピークやディップは見られなかった。 15HZから50KHZで最大出力20Wを超えていたが、さすがに10HZでは50%未満まで低下している。

  5. その他
     SEPPOTLアンプの小型化はかなり無理な動作となり、ひずみ率が悪化する。 その点、マッチングトランスを使用した場合は発熱量、ひずみ率の低減、最大出力増加が期待できる。 MT−72は4Ω端子も出ているので便利である。
     バイアス、DCバランス調整は2連VR4個とトグルSW4個を設置しているので、デジタルテスターとマイナスドライバーがあれば簡単に行うことができる。



内 部 配 線 (オレンジドロップの大きい方は1000V耐圧)


背  面  写  真 (出力端子は4Ωと8Ω)


前面に取り付けたバイアス、DCバランス調整切り替え用トグルSWとシャーシー上に設けた4個の2連VR

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