40KG6A(PL519)×2MT付SEPPアンプ  平成27年7月8日 




  1. はじめに
     このアンプは平成26年6月に製作した36LW6×2MT付SEPPアンプのマッチングトランスをオークションで入手したタンゴ製No.10244(64/8Ω60W)に交換し、更に出力管を40KG6A(PL519)に変更して製作したものである。

  2. 使用部品
     マッチングトランスと出力管以外の主要部品はそのまま流用した。
     今回採用した使用したタンゴ製マッチングトランス(No.10244)のコアーサイズはW2−ST60とほぼ同じである。 規格は1次インピーダンス64Ω、2次インピーダンス8Ω、容量は60W(推定)である。端子が上部に出ていたので、取付金具の位置を変え、下部引き出し型にした。
     出力管は手持ちの40KG6A(Philips)を2本とPL519(SYLVANIA)を2本を使用したが、40KG6Aには本体に印字が無い。 PL519にはSYLVANIAの印字がされていた。しかし、この2本の電極構造を見ると全く同じである。下の写真参照。
     どうも同じ工場で生産されたものではないかと想像できる。40KG6はPL509、40KG6AはPL519と言う説もあるが、これは真実かもしれない。 このアンプでは上段に40KG6A下段にPL519を使用することにした。

       
     左側PL519、右側40KG6A。内部構造などは酷似している。

  3. 回路構成
     回路構成は36LW6×2SEPPアンプと全く同じにしていたが、高域の減衰が少し早いようなのでNFBを2次側から戻すように変更した。 それに伴い、NFB抵抗、微分型位相補償用コンデンサーの容量も変更した。
     NFBをMT2次側から戻した場合、容量負荷時のリンギングが大きいようであるが、 W2−ST60と比べて変化が少ない。

  4. 測定結果
     周波数特性では目立ったピークやディップはなく、10KHZの矩形波応答は全く問題な無いが、歪率は少し悪化した。
     NFBは10dB、残留雑音は左右とも0.3〜0.4mV、DFは4.7(ON−OFF法)程度であった。 DF値が下がった原因はNFBが少ないことが原因と思われる。
     容量負荷時の10KHZ矩形波応答に差がみられることから、マッチングトランスの高域特性にバラツキがあると思われる。
     同じマッチングトランスがもう1個有るので、交換すれば高域特性をそろえることが出来るかも知れない。

  5. 最大出力
     最大出力は入力0.7Vでクリップ開始14W/8Ωが得られ、少し高感度過ぎる状態である。
     最適負荷抵抗は120Ω前後と思われるので、64Ωでは最大出力が少し低下し、その時のプレート電流は増加した。
     使用したマッチングトランスは高域特性が優秀で、2次側からのNFBにも係わらず高域カットオフは120KHZ 以上、1MHZまでピークやディップは見られない。 低域も20HZで中域の80%程度の最大出力が得られた。

  6. その他
     取り外したマッチングトランス(W2−ST60)は6080単管マッチングトランス付SEPPアンプに使用する予定である。
     最近はマッチングトランスを使用したSEPPアンプを多く自作しているが、インピーダンスが低いスピーカーにも対応でき、便利である。 また、マッチングトランスは巻き数が少ないためか、簡単な巻線構造でも高域特性は優秀で価格も比較的安い。
     最近はオークションに業務用マッチングトランスが出品されているので、入手は可能である。 容量は通常50HZにおける値で表示されているので、大きめのものを選んだ方が低域特性は良好である。


左CH内部配線


右CH内部配線


背  面  写  真

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