5998A×2SEPPOTLアンプ 平成20年10月25日
- はじめに
先日、5998Aが1本1500円で入手できたので、6080WC×2SEPPOTLアンプ3号機を改造することにした。
改造と言っても、球の差し替えとバイアス回路の定数変更、一部部品の交換のみであるから半日程度で終了した。
- 5998Aの特徴
5998Aという球はあまり馴染みがないが、内部電極は6080とそっくりで、袴部分を見なければ区別はつかない。
規格は6080族とは少し異なり、おもな特徴は下記の通りである。
(1)μ は5.4と6080族の2倍以上
(2)ヒーターカソード間耐圧が±100V
(3)プレート損失は15W
(4)ヒーターは6.3V2.4A
(5)内部抵抗は350Ω
以上の特徴から、ヒーターは非接地としなければならない。しかし、プレート損失が少し大きく、プレート電流を少し多めに出来るので歪率の改善が期待できる。
また、内部抵抗が少し大きいので最大出力は6080と比較して小さくなると思われる。
- 回路構成
バイアス電圧を低くするため、バイアス平滑回路の抵抗を大きくしてマイナス35V前後が供給出来るように回路定数を変更した。
また、グリッドリーク抵抗を68KΩに変更したが、ドライブ段のプレート供給電圧が470V近くあるので十分ドライブが可能である。
しかし、時定数が小さくなって低域の遮断周波数が高くなった。裸利得が6dB以上増加したのでNFB抵抗を1KΩから2.2KΩに変更した。
NFBは22dBである。
- 測定結果
歪み率は6080の場合に比較して少し改善されたが、NFB量が多いことも影響していると思われる。
高帰還アンプにもかかわらず、容量並列時の10KHZ矩形波は非常に安定している。0.1μFではほとんど変化なし、0.47μFで少しオーバーシュートが現れるのみである。
120KHZでマイナス3dB、1MHZまでピークやディップの発生はない。OPT付きのアンプと比較して高域は非常に安定している。
なお、残留雑音はRch、Lchとも0.2mV未満、DFは9.5(ON−OFF法)であった。
- 最大出力
最大出力はRCH8.5W/8Ω、LCH7.8W/8Ωと左右で少し差がある。やはり、6080等との内部抵抗の差は歴然としている。
- その他
5998Aは6080族と比較してバラツキは少ないようであるが、グリッド−カソード間の放電現象が発生し易い構造である。
過大入力、あるいはパルス性の信号を加えるとたちまち内部で放電する。一度放電させてしまうと一気に劣化して(gmの減少?)歪率が悪化する。
調整段階で2本をだめにしてしまった。
このアンプを長期間安定動作させるためには、6080OTLの場合と同様に、多少の最大出力低下には目をつぶり、出力段B電圧を150V未満に下げるか、マッチングトランスを取り付け高負荷インピーダンス(100Ω程度)で使用するなど、最大出力時のピーク電流を低くしなければならない。
内 部 写 真
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