6080単管マッチングトランス付SEPPアンプ2号機
令和2年3月10日
- はじめに
数年前に6080WC単管マッチングトランス付SEPPアンプを製作していたが、モノラルアンプ2台の構成で、片CHに電源トランスを3個も使用していた。
そこで、特注電源トランスを2個使用してステレオ形式6080WC単管マッチングトランス付SEPPアンプ2号機を製作することにした。
- 使用部品
マッチングトランスにはオークションで入手した山水製OM−50を使用する。
このマッチングトランスは1次側は500Ω−400Ω−300Ω−200Ω−150Ω−COM、2次側は16Ω−COMとなっていて容量は50Wである。
このままでは1次インピーダンスが高すぎるので、2次側16Ω端子に8Ωを接続し、1次インピーダンスを半分とする。
400Ωタップを使用した場合200Ω負荷となる。
使用球は初段に12AX7、ドライバー位相反転段には5687、共通カソードに接続する定電流回路には6BQ5(T)を使用する。
電源トランスは西崎電機特注品を2個を使用する。以前、6336BMT付SEPPアンプに使用していたもので、容量的には十分である。
CHコイルは第1B電源に同じ西崎電機特注品の0.6H350mAを2個、第2B電源にノグチトランス製PMC−1006Hを使用する。
ケースは奥澤製O−4にボンネットカバー(中古品)を取り付けて使用する。
- 回路構成
出力段用第1B電源は280V350mAをブリッジ整流して最大DC220mA強を供給する。
200Ω負荷であれば最大出力時のプレート電流は120mA程度であり、かなりのオーバースペックである。
ドライバー段用第2B電源は変則的であるが2個の電源トランスの175V端子を直列にし、350Vとしてブリッジ整流して供給する。
6080は非常に高いドライブ電圧を要する。そこでドライバー段のB電圧を出来るだけ高くし、ドライバー管には5687を使用する。
また、初段との直結回路の電圧配分が悪いと最大出力が低下するので、細かく調整する必要がある。
バイアス電源は70V30mAを両波倍圧整流して供給する。70Vのブリッジ整流ではバイアス電圧が不足する。
打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6BQ5のカソードへ帰還電圧を注入する。
NFBはマッチングトランスの1次側、2次側どちらからでもかけられるように切り替えSWを取り付ける。
- 測定結果
周波数特性では目立ったピークやディップはなく、容量負荷時の10KHZの矩形波応答も安定性は非常に良い。
しかし、マッチングトランス1次側からのNFBの場合、高域遮断周波数は17KHZでかなり低くなった。
2次側からのNFBでは高域遮断周波数が76KHZまで改善された。
原因はMTの使い方の影響もあるが、OM−50の特性と思われる。
NFBは12.5dB、残留雑音は左右とも0.3mV未満であった。
DFはマッチングトランス2次側からNFBをかけた場合7.2、1次からの場合は4.5であった。
歪率は負荷を200Ωに設定した影響で6080にしては良好であった。3〜5W付近で一旦歪率が低下するB級アンプの特性を示していた。
1次側からNFBの場合10KHZ歪率が少し低下していたが、高域減衰の影響で高調波が減衰しているためと思われる。
- 最大出力
最大出力は入力0.8Vでクリップ開始出力11.5Wが得られた。
低域20HZにおける最大出力は中域の70%程度が得られた。
- その他
使用したマッチングトランス山水OM−50の2次側インピーダンスは16Ωのみのため、負荷を8Ωとして1次インピーダンスを半分として使用したが、高域遮断周波数が少し低くなってしまった。
特にNFBを1次側から戻した時の影響が大きい結果となった。
16Ω負荷とした場合は1次側からのNFBでも高域遮断周波数は30KHZ付近となるが、1次インピーダンスが高すぎるため最大出力が低下する。
このアンプはバイアス調整、PPバランス調整用として2連VRを使用したが、なかなか便利である。MQ−36と同等。
前面に取り付けたトグルSWで調整項目を選択し、テストピンにDCテスターを挿入して調整する。
その場合、トグルSWは左が優先としている。
ボンネットカバー付き
上 部 写 真
背 面 写 真
内 部 配 線
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