6080WC×2SEPPOTLステレオアンプ2号機 平成20年2月9日
このアンプは平成23年12月に分解し、電解コンデンサーを23JS6A×4SEPPOTLに流用した。
- はじめに
昨年製作した6080WC×2SEPPOTLアンプが予想以上の出力が得られたので、この2号機を製作することにした。
- 電源トランス
前回使用した電源トランスの第1B電源(±189V)はブリッジ整流であったが、廉価な電解コンデンサ(1500μF250V)が入手できたので倍電圧整流方式に変更した。
ヒーター電源も必要な容量に変えて特注した。
また、手持ちのタイムリレー操作電源がAC200Vであったので、100V30mAを追加し、AC100Vに上乗せして使用する。
この方が新たにリレーを購入するよりもはるかに安上がりである。
融通が利くことでも特注は便利である。容量は前回よりも小さく、400VA強である。
- シャーシー
前回と同じく、ノグチトランスの2MM−283(サイズは400×250×60)を採用した。
今回は電解コンデンサーが小型であったのでこのサイズで十分である。
- 回路構成
球の手持ちの関係で、初段は前回と同じ12AX7のSRPPであるが、位相反転段は6SN7に定電流管は6BQ5に変更した。
他は前回とほぼ同じである。
- 測定結果
歪率、入出力特性は前回とほぼ同じ。
微分型位相補償用コンデンサーを330Pから620PFに増加したため、超高域での減衰が大きいが、この方が容量負荷時の10KHZ矩形波リンギングが小さい。
今回も打ち消し回路は省略している。8Ω負荷ではドライブ電圧と比較して、出力電圧が低いのでこのような結果となった。
もちろん、負荷が変動すればバランスは崩れるのであるが、その影響は無視しても差し支えないであろう。
残留雑音はRCH、LCHどちらも0.1mV以下と優秀である。電力感度が低いことに伴い、残留雑音も小さくなったものと思われる。
- 最大出力
最大出力は8Ω17Wと前回よりも少し下回る結果となった。これは電源トランス容量が少し小さいことが影響していると思われる。
- 6080について
調整中に何回も6080の暴走現象が発生した。
(最大出力測定時)その時、プレートに挿入した1Ω2Wの酸化金属皮膜抵抗が焼損あるいは破裂した。
結局、5Ω3W型セメント抵抗に交換したが、セメント抵抗の誤差が±5%のため、抵抗のペアー取りがなかなか難しいので、多数購入して選別した。
6080WCは前回購入した9本の残り5本の中から組み合わせることが出来たが、バイアス調整回路の定数を変更して、電圧調整範囲を広くしたおかげである。
したがって、各ユニットごとのバイアス電圧にはかなりの差がある。
- その他の注意点
電解コンデンサーに縦型のものを使用しているが、倍電圧整流回路、2階建て部分の上段部分、およびバイアス回路に使用したとき、上部金属部分に触れると感電するので、下の写真のように絶縁テープを貼り付けている。
6080族は過大入力により暴走する危険性があるので、調整中は特に気をつけねばならない。
最大出力の測定は短時間で終わらせないと危険である。また、使用中は接続ケーブルを不用意に抜いたりすることも危険である。
必ず入力VRを絞ってから抜くように心がける必要がある。
抵抗が断線、あるいはヒューズの溶断で済めばよいが、6080のカソード引き出し線が管内で切れればもはやその球は使用不能となる。
このアンプを長期間安定動作させるためには、多少の最大出力低下には目をつぶり、出力段B電圧を150V未満に下げるか、マッチングトランスを取り付け高負荷インピーダンス(100Ω程度)で使用し、最大出力時のピーク電流を低くする必要を感じた。
内 部 写 真
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