全帰還型6336B×2SEPPOTLアンプ  平成23年10月8日   




  1. はじめに
     平成22年5月に自作した6336B×2SEPPOTLアンプはシャーシーが小さく非常に熱くなっていたので、少し大きいシャーシーに組み替えることにした。

  2. 使用部品
     シャーシーは以前5998A×4SEPPOTLアンプに使用していたSL−20(旧スズラン堂製)の天板を2mmアルミ板に交換して製作した。 天板にはシルバーメタリック塗装を施し、シャーシー両サイドに水性ニスで仕上げた木板を取り付けた。
     6336B、電源トランス、CHコイル、第1B電源の電解コンデンサー6個、タイムリレー、冷却ファン(φ80mmDC24V40mA低騒音型)、底板等は5998A×4SEPPOTLアンプに使用していたものを流用した。

  3. 回路構成
     初段は12AX7Aによる差動回路、ドライブ段はSRPPである。ここで問題がある。SRPP上段のカソード電位は350V前後であるため、他の球とヒーター回路を区分しなければHK間耐圧がオーバーする。 そこで上段、下段を別々の球とし、上段ヒーターは別のトランスから供給することにした。 しかし、使用したトランス容量が12V0.5Aのため上段は12AU7A、下段は12BH7Aと変則的SRPPである。 その結果、小型トランスに0.2Aの余裕が生じたので、ブリッジ整流して冷却ファンの電源もこの巻き線から供給するこができ、一石二鳥である。
     バイアス回路は個別に調整できる方式(MQ−36とほぼ同じ)とし、打ち消し回路は全帰還方式(別名テクニクス方式)を採用した。 さらに、DFC回路を組み込み、DFを2段階切り替えとした。(4.5→1.9)
     通常時は電流帰還用の抵抗0.33Ωを短絡した方がDF値は大きくなるが、使用したロータリーSWの接点容量が0.2Aであるため短絡するようにはしていない。 最大出力時の出力電流は1.7A程度となる。
     初段とドライブ段は、宮崎氏がMJ誌1993年4月号、5月号に掲載されている26HU6×6SEPPOTLアンプとよく似た回路となった。

  4. 測定結果
     前作と比較して裸利得が減少したことにより、オーバーオールNFBが少なくなったが歪み率は幾分よくなっている。(19dB→13.8dB)
     これは無信号時のプレート入力を大きくした結果と思われる。その分最大出力時のプレート電圧が低下し、最大出力も僅かに低下した。 それでも8Ω負荷時23W、16Ω負荷36W程度であるから家庭用としては十分すぎる出力である。
     容量並列時の10KHZ矩形波応答は電流負帰還をかけた状態の方が安定している。 周波数特性は200KHZでマイナス3dB、1MHZまでピークやディップはない。高域補償回路はNFB抵抗並列の550PFのみである。
     残留雑音はRchが0.15mV、Lchが0.09mVとまずまずである。DFは電圧負帰還時が4.5、電流負帰還併用時が1.9(ON−OFF法)であった。

  5. その他
     6336Bは6080族と比較してバラツキは少ないようであるが、それでもプレート電流を同じにしたときのバイアス電圧には数Vの差がある。 共通バイアス回路では、球を選別しなければ、かなりアンバランスな状態になると思われる。
     6336Bのカソードに挿入している5Ω3Wの抵抗は酸化金属被膜抵抗では断線しやすいので、セメント抵抗を使用しなければならない。 また、最大出力が下がることを覚悟の上でプレート電圧を少し下げた方が安全と思われる。ラックスのMQ−36のようにプラスマイナス160Vで最大出力18W/8Ω程度が良いであろう。
     弟分である6080や5998Aでも同じことが言える。


背 面 写 真


内 部 写 真


底に取り付けた冷却FAN

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