6336B×2SEPPOTLアンプ  平成22年5月12日   



このアンプはすでに分解し、全帰還型6336BSEPPOTLアンプに生まれ変わった。


  1. はじめに
     先日、待望の6336Bを1本7000円で入手できたので、5998A×4SEPPOTLアンプの部品を流用してこのOTLアンプを製作した。
     6336Bは武末OTLアンプやラックスMQ−36に使用されていた6336Aと同規格の球であり、OTLアンプ製作者にとっては憧れの球である。

  2. 使用部品
    シャーシーは以前6080WC×2SEPPOTLアンプに使用していたものにシルバーメタリック塗装を施し、両サイドに水性ニスで仕上げた木板を取り付けた。 電源トランス、CHコイル、第1B電源の電解コンデンサー6個、タイムリレー、冷却ファン(φ80mmDC24V40mA低騒音型)は5998A×4SEPPOTLアンプから取り外したものを流用した。 底板は冷却ファンを取り付けるため、通気口は必要ないので、ホームセンターで入手した1.5mmアルミ板から新たに製作した。

  3. 回路構成
     初段は12AX7AによるSRPP、位相反転段は12BH7Aカソード結合型のカソード抵抗の代わりに6AQ8パラの定電流回路を付加したものである。 この方式は、今まで私が製作してきたOTLアンプとほとんど同じ回路である。
     ただし、6336Bのバイアスが深いため、ドライブ段供給電圧として500V近くが必要であり、電源の電解コンデンサー耐圧が500Vでは少し不足する。 そこで100μF350Vの2段重ねとした。(回路図参照)
     バイアス回路は個別に調整できる方式(MQ−36とほぼ同じ)とした。双3極管の場合、内部ユニットの特性が揃っているものはほとんどないため、必然的に採用せざるを得ない。 6080等と違って、6336Bは高価であるため、多数購入してマッチングしたものを揃えることなどは金銭的に不可能である。 
     冷却ファンの電源は専用電源を作るのが一番であるが、電源トランスには巻線が無い。12V程度の小型トランスを込めば良いのであるが、スペース的に無理である。 前段用ヒーター巻線に300mA余裕があることに気が付き、6.3Vを半波3倍圧整流でDC15Vで供給することにした。 定格24Vのところを15Vで駆動すれば静かであるが、風量はあまり多くない。

  4. 測定結果
     歪み率のカーブが上に凸となっているが、レギュレーター管に共通した特徴である。5998A×4SEPPOTLと小出力時以外はほぼ同じ傾向である。 小出力時に差があるのは残留雑音の影響である。
     19dBの高帰還アンプにもかかわらず、容量並列時の10KHZ矩形波は非常に安定している。0.1μFではほとんど変化なし、0.47μFで少しオーバーシュート、リンギングが現れるのみである。 周波数特性は120KHZでマイナス3dB、1MHZまでピークやディップはない。高域補償回路はNFB抵抗並列の1000PFのみである。
     残留雑音はRch、Lchとも0.1m未満と優秀、DFは9.5(ON−OFF法)であった。

  5. 最大出力
     最大出力は25W/8Ω、40W/16Ωが得られた。プレート電圧が少し高いため、MQ−36(18W/8Ω、30W/16Ω)よりは高出力に仕上がった。

  6. その他
     6336Bは6080族と比較してバラツキは少ないようであるが、それでもプレート電流を同じにしたときのバイアス電圧には数Vの差がある。 共通バイアス回路ではかなりアンバランスな状態になると思われる。
     それにしても、発熱は尋常ではない。底板を取り外し、冷却ファンが使えない状態ではシャーシー温度は50℃以上に上昇する。 しかし、通常の使用状態では1時間経過しても温度上昇は低く抑えられている事から、冷却ファンは十分効果を発揮していると思われる。
     武末氏設計の6336AOTLアンプを知ってからこのアンプの製作までに40年以上経過したが、念願のアンプを製作することが出来たことに非常に満足している。


背 面 写 真


内 部 写 真


底に取り付けた冷却FAN

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