6336B単管マッチングトランス付SEPPアンプ
平成27年10月26日
- はじめに
レギュレーター管6080WCを使ったMT付SEPPアンプで好結果が得られたので、さらに大出力を狙って6336BMT付SEPPアンプを製作することにした。
- 使用部品
マッチングトランスには業務用として製造されたタンゴ製MT-120(オークションで入手)を使用する。
このマッチングトランスの1次側は100Ω−83Ω−50Ω−40Ω−COM、2次側は8Ω−COM、容量120Wで、オリエントコアーを使用したかなり大型の製品である。
1次3分割2次2分割の構造となっている。
使用球は初段に12AX7(ECC83)、ドライバー位相反転段には5687、共通カソードに接続する定電流回路には6V6GT(T)を使用する。
特に6V6GTでなければならないことはなく、手元に6本あったので採用してみただけである。
また、出力管にはTung−Sol製6336Bを使用する。
電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはノグチトランス製PMC−0930H、ケースは奥澤O−8に側板を取り付けたものを使用する。
ケース、裏蓋ともシルバーメタリック(エナメル)塗料を吹き付けた。
マッチングトランスは端子がむき出しのためギャレットオーディオが販売しているトランスカバーTCN104(123×123×120)を使用する。
同社が販売しているものでは最大である。ワンサイズ小さいTCN103(103×103×105)では納まらない。
タンゴ製マッチングトランス MT−120
- 回路構成
出力段用第1B電源は300V350mAをブリッジ整流して最大DC220mAを供給する。
ドライバー段用第2B電源は175Vを倍電圧整流して供給する。
バイアス電源は70V30mAをブリッジ整流して−95Vを得ている。
打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6V6GTのカソードへ帰還電圧を注入する。
2次側からNFBを掛けた場合は90KHZ付近となるが容量負荷時のオーバーシュートが大きくなったので、1次側から掛けることことにした。
- 測定結果
周波数特性では目立ったピークやディップはないが、少し変則的なカーブを画いている。10KHZの矩形波応答は全く問題無い。
マッチングトランス1次側からのNFBとした効果で容量負荷時の安定性は非常に良い。しかし高域カットオフは45KHZ程度となっている。
NFBは約16dBで少し多めである。残留雑音は左右とも0.25mV未満、DFは8.6(ON−OFF法)程度であった。
100HZと1KHZの歪率は良好であるが、右CHの10KHZの歪率悪化が少し早い。
- 最大出力
最大出力は入力1.3Vでクリップ開始27W程度が得られた。左右で少し差があるが6336Bのバラツキと思われる。
また、低域20HZにおける最大出力は中域の80%程度が得られているのは、大型MTの効果と思われる。
しかし、反対に高域では最大出力が低下し、20KHZで中域の70%程度である。
このアンプはマルチアンプの中低域用として使用すれば丁度よい特性と思われる。
- その他
6080WCMT付SEPPアンプと同様にシャーシー上面にプレート電流測定端子、PPバランス測定端子を設け、半固定抵抗をシャーシー上部に空けた穴から操作できるように平ラグ板裏側に取付ている。
左CH内部配線
右CH内部配線
背 面 写 真
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