6336B単管マッチングトランス付SEPPアンプ2号機  平成29年7月29日 




  1. はじめに
     先日、福岡県のK氏から溶接機に使用されていたMPコンデンサー(500V120μF)を多数頂いたので、電解コンデンサーの代わりにこのMPコンデンサーを使ったSEPPアンプを製作することにした。
     しかし、低RLOTLアンプにすることためには少なくとも片CH当たり6本必要となる。 このMPコンデンサーは直径45o高さ120oと大きいため、かなり大きなケースでなければスペース的に無理である。 そこで、片CH当たり3本のMPコンデンサーと手持ちのマッチングトランスを使用してSEPPアンプを製作することにした。

  2. 使用部品
     シャーシーは旧スズラン堂製SL−20の天板を交換して使用する。 電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルは第1B電源用にラックス製4605(1.25H220mA)2個、第2B電源用に50H30mAを使用する。
     マッチングトランスは業務用として製造された松下製W2−ST120(オークションで入手)を使用する。 このマッチングトランスの規格は1次側84Ω−42Ω−COM、2次側16Ω−8Ω−4Ω−COM、容量120Wとなっている。 リード線が上部引き出しとなっていたので取り付け金具を付け替えて下部引き出しに変更して使用する。
     出力管はTung-Sol製6336B、初段は松下製とPhilips製の12AX7(ECC83)を各1本使用する。 ドライバー位相反転段にはIBM製6463、共通カソードに接続する定電流回路にはシルバニア製6BQ5(T)を使用する。

  3. 回路構成
     出力段用第1B電源は175V400mAをブリッジ整流して±113V、最大DC250mAを供給する。 ドライバー段用第2B電源は150Vを倍電圧整流して供給する。 バイアス電源は4組の40V30mAをブリッジ整流して供給する。
     打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6BQ5(T)のカソードへ帰還電圧を注入する。
     NFBは1次側と2次側をロータリーSWで切り替えが出来るようにする。

  4. 測定結果
     周波数特性では目立ったピークやディップはないが、高域の遮断周波数は1次側から帰還した場合は33KHZ、2次側から帰還した場合は75KHZ付近となった。 周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無い。 10KHZの歪率が1次側から帰還した場合に低くなっている理由は高域が減衰しているため高調波成分も減衰しているためと思われる。
     NFBは約17dBで少し多めである。残留雑音は左右とも0.5mV程度であった。 1次側から帰還した場合のDFは5.3、2次側から帰還した場合は10.3となった。 1次側からの帰還では2次側巻き線抵抗値の影響を受けて少し低くなった。

  5. 最大出力
     最大出力は入力0.36Vでクリップ開始出力約7Wが得られた。プレート電圧±113Vでは致し方ない。 低域の最大出力は巨大なMTの効果で10HZでも中域の90%以上が得られている。

  6. その他
     最初、第1B電源は120μF500V3本で構成していたが、低域が少し不安定となったこと、残留雑音が多いことから3個の120μFMPコンデンサーに電解コンデンサー100μF400Vを並列にした。
     シャーシー上面にDCバランス調整用切り替えSWとテストピンを左右に取り付け、バイアス調整用VRは上面から調整できるように設置した。

     このアンプは電源トランスを交換して最大出力28Wの6336B単管BMT付SEPPアンプに生まれ変わった。

バランス調整用切り替えSWとテストピン


内部配線


背  面  写  真

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