マッチングトランス付6C19P平衡ドライブSEPPアンプ   平成26年4月2日 


マッチングトランス付6C19P平衡ドライブSEPPアンプ


《 はじめに 》
 昨年自作した「マッチングトランス付6DQ5平衡ドライブSEPPアンプ」の電源トランスは余裕があり過ぎたのでマッチングトランスのみ流用してこのアンプを自作した。 取り外したMX−280は別のアンプに使用する予定である。

《 使用部品 》
 出力管は昨年、名古屋のY下氏から多数の真空管を頂いた中に6C19Pが7本あったのでこの中から4本を使用する。  電源トランス、OPTはともに西崎電機特注品、CHコイルはノグチのPMC−115H(1H150mA)を使用する。 出力段用B電源回路はマッチングトランス1次側出力電圧の半分で充電されるため、トランス内部にシールドを施した特製品である。
 シャーシーは奥澤のO−4に塗装した横板、底板を取り付けたものである。シャーシー本体は無塗装である。
 第1B電源の電解コンデンサーは手持ちの関係で縦型250V180μFを計12個使用した。内部写真参照。

《 回路構成 》
 初段の12AX7で差動型位相反転、ドライブ段は上段に12AT7、下段に12BH7を使用したSRPP準差動回路である。
 出力段はマッチングトランス1次側中点を接地した平衡ドライブSEPP回路である。この方式は1次側出力電圧の半分が帰還されるためかなり高いドライブ電圧が要求される。
 1次側インピーダンス200Ωの場合10W出力時の1次側電圧は約45V(ピーク値63.6V)、その半分の22.5V(ピーク値31.8V)が帰還電圧となる。 6C19Pのバイアス電圧は−58Vとなっていることからドライブ電圧のピーク値は90V程度が要求されるため、第2B電源として455Vを供給している。
 バイアス回路の4.7KΩ、半固定抵抗10KΩ、51KΩ、15KΩの各抵抗は直並列回路を構成して負荷と並列になっているので注意が必要である。

《 最大出力、測定結果 》
 入力1.1Vで10.4Wの最大出力が得られた。計算上の最大出力は11W程度であるが、マッチングトランスの損失を考えれば妥当な出力と思われる。 しかしながら、コアーボリュームが小さいことが影響し、20HZおける最大出力は中域の35%まで激減している。 50HZ25Wの容量では我慢せざるを得ない。
 オーバーオール負帰還は13.5dB、DF値は9.5、残留雑音はLch0.18mV、Rch0.14mVであった。 歪率は余り良好とはいえないが、6C19Pの直線性があまり良くないことが影響していると思われる。
 周波数特性上に目立ったピークやディップは発生していない。700KHZ付近の小さなピークは問題ないであろう。 10HZで+0.5dBとなっているが、歪んだ波形の平均値による誤差と思われる。 低インピーダンス型マッチングトランスは高域特性がなかなか優秀である。 因みに、マッチングトランスにはオリエントコアーを使用し、巻線構造は1次4分割直列、2次5分割並列である。
 CHクロストークが中域で平坦になっているのは残留雑音の影響である。低域のデータが悪い原因も測定限界値の影響である。中域では100dB程度が得られていると思われる。

《 その他 》
 最初はモノラルアンプ2台で製作する予定であったのでPTを2個搭載したアンプとなってしまった。共通部品は電源SW、パイロットランプのみである。
 ドライブ段SRPP上段は対アースのカソード電圧が280V程度となるため1本で上下段を組むことはできない。ヒーターは別回路とし、非接地としなければならない。



内部配線



背  面

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