6C33CBSEPPOTLアンプ  平成30年9月30日 

6C33CBSEPPOTLアンプ LCH


6C33CBSEPPOTLアンプ RCH

  1. はじめに
     先日、巨大なOTL用タンゴ特注トランス2個をオークションで入手した。 容量から考えてモノラル用6336×4か6C33CB×2用に特注したものと思われる。 回路図参照。
     そこで6C33CBを使用してSEPPOTLアンプを製作することにした。

  2. 使用部品
     シャーシーはノグチトランス製2MM283を2個使用し、シルバーメタリック塗装を施し、両サイドに水性ニスを塗った側板を取り付ける。 重量級トランスのため内部に補強アングルを取り付け、底板も2o厚を使用する。 電源トランスはあずき色に塗装されていたが擦り傷が見られたので黒色つや消し塗装を施して使用する。 CHコイルは第1B電源用にラックス製4805(1.25H460mA)、第2B電源用にノグチトランス製PMC−1006H(10H60mA)を使用する。
     第1B電源用電解コンデンサーには日本ケミコン製KMH型、第2B電源用にはJJ製を使用する。
     出力管はソブテック製6C33CB、初段は12AX7(ECC83)、ドライバー(位相反転)段には12BH7A、共通カソードに接続する定電流回路にはブライマー製6CH6(T)を使用する。

  3. 回路構成
     出力段用第1B電源は260V850mAをブリッジ整流して±180V、最大DC530mAを供給する。 ダイオード出力と1000μF450V電解コンデンサーの間に30秒タイマー(オムロンH3Y−2)と1KΩ5Wを挿入して突入電流を抑制する。 タイマーの接点容量はAC250V3AであるがDCでは30V0.5Aであるため、電解コンデンサーの後ろに挿入した場合は接点の消耗が進む。 また、接点は2回路並列としても接点容量が2倍とはならないので注意が必要である。
     ドライバー段用第2B電源は350Vをブリッジ整流して供給する。 バイアス電源は2組の70V50mAをブリッジ整流して供給する。
     打ち消し回路はPNFB方式で、出力端子から6CH6(T)のカソードへ帰還電圧を注入する。

  4. 測定結果
     周波数特性はさすがOTLアンプといえる特性を示している。高域遮断周波数は高域補償回路なしでは300KHZ以上となったので、微分、積分補償を取り付けた。それでも110KHZ/−3dBである。
     NFBは約15dBで少し多め、残留雑音は左右とも0.2mV未満、DF値は5.4であった。
  1. 最大出力
     最大出力は入力0.9Vでクリップ開始出力約33Wが得られ、20HZ〜50KHZまで最大出力30Wを維持している。
     また、16Ω負荷では54W、32Ω負荷では63W程度の出力となった。 右図は負荷抵抗対最大出力の実測値であるが、このアンプの最適負荷抵抗は30Ω前後と思われる。 ひずみ率も負荷抵抗増に伴って低下する。 低負荷インピーダンスで最大出力が急激に低下しているのは、最大出力時のプレート電圧が低下するためである。

  2. その他
     シャーシー上面にDCバランス、バイアス調整用切り替えSWとテストピンを設け、バイアス調整用VRは上面から調整できるようにした。
     6C33CBは定常状態に達するまで15分以上かかるので、調整は十分にウォーミングアップ後に行わねばならない。 しかし、6C33CBの発熱量は尋常ではない。
     無信号時でもヒーター電力12.6V×3.3A=41.58W、プレート損失180V×0.22A=39.6Wとなり6C33CB2本で約162Wに達する。 通風をよくして使用することを心掛ける必要があり、冬季限定のアンプと言えるかも知れない。
     2本の6C33CBの距離が近すぎたためか、2本の中間点シャーシー温度が100度以上に上昇していた。 そこで底面に通風ファンを取り付けたところ、温度は60度前後に下がった。
     使用したファンはφ80mm低騒音型である。定格DC24Vのところへ12.6Vをブリッジ整流して17Vを供給しているので非常に静かで、使用中もほとんど気にならない。




LCH 内部配線


RCH 内部配線


LCH 背  面


RCH 背  面

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