6GF7A×2マッチングトランス付SEPPアンプ  令和3年2月17日 




  1. はじめに
     平成30年に自作した6FM7×2マッチングトランス付SEPPアンプに続き、 ほぼ同じ回路構成で6GF7A×2マッチングトランス付SEPPアンプを自作する。
     6GF7AはTV用垂直発振出力用の複3極管である。 この球を使用したSEPPアンプの最大出力は6GF7(No.2)SEPPアンプの最大出力をご参照いただきたい。 プレート電圧±200V330Ω負荷で10W程度が見込める。
  1. 使用部品
     シャーシーは旧スズラン堂製SL−10(中古品)を使用し、天板は1.5oアルミ板を加工する。 両サイドには水性ニスを塗った側板を取り付ける。
     電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはPMC-115H(1H150mA)を2個、PMC-1006H(10H60mA)1個を使用する。
     マッチングトランスは業務用として製造された松下製W2−ST30(新品購入)を使用する。 このマッチングトランスの規格は1次側330Ω-167Ω-COM、2次側8Ω-6Ω-COM、容量30Wとなっている。 リード線が側面引き出しとなっていたのでタカチ製MB-12Sに収めて取り付ける。下の写真参照。
     出力段とドライバー段はGE製6GF7A、初段は松下製12AU7を使用する。 共通カソードに接続する定電流回路には手持ちの関係でBrimar製6CH5(T)を使用する。
  1. 回路構成
     出力段用第1B電源は左右別とし、それぞれ280V200mAをブリッジ整流して±189V、最大DC125mAを供給する。 ドライバー段用第2B電源は170Vを倍電圧整流して供給する。 バイアス電源は4組の50V30mAをブリッジ整流して供給する。
     打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6CH6(T)のカソードへ帰還電圧を注入する。
     NFBは1次側と2次側をSWで切り替えが出来るようにする。

  2. 測定結果
     130KHZ付近に小さなピークらしきものが観測された。600KHZ以上の変化は問題ないと思われる。 高域の遮断周波数は1次側から帰還した場合は約50KHZ、2次側から帰還した場合は約90KHZとなった。 左右で異なっている原因はMTのバラツキで、矩形波応答にもその特徴が表れている。
     NFBが少いためか中出力時のひずみは多めであるが、2.7W付近までは1%以下に収まった。 周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無かった。
     NFBは約9dBに設定、残留雑音は左右CH共0.3mV程度であった。 DFは1次側から帰還した場合は4.5、2次側から帰還した場合は6.8であった。 1次側からの帰還では2次側巻き線抵抗値の影響を受けて少し低くなった。

  3. 最大出力
     入力0.6Vでクリップ開始出力7.9W(1KHZ)が得られた。 最大出力時のプレート電圧が±175V程度まで低下する影響と思われる。 10HZにおける最大出力は中域の27%程度まで低下しているが、20HZでは中域の約87%が得られた。
  1. その他
     シャーシー前面にテストピンとDCバランス、プレート電流測定の切替SWを取り付けた。 また、バイアス調整用VRは上面から調整できるように設置した。下の写真参照。
     下段のカップリングコンデンサーの耐圧は630Vでは不足するので必ず750V耐圧以上のものを使用しなければならない。
     市販品電源トランスの中にはSEPPアンプ用の製品は見当たらなく、特注せざるを得ないことがネックである。 また、W2−ST30は残念ながら製造中止となってしまった。


背  面  写  真


内部配線


バランス調整用VRとテストピン、ケースに収めたW2−ST30、電解コンデンサー、CH

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