7233×2マッチングトランス付SEPPアンプ  令和4年5月23日 




  1. はじめに
     令和3年2月に自作した6GF7A×2マッチングトランス付SEPPアンプとすべて同じトランスを使い、 ほぼ同じ回路構成で7233×2マッチングトランス付SEPPアンプを製作する。
     7233は低内部抵抗、低μのレギュレーター管である。内部電極構造は6080、5998と同様にコの字型プレートの間にグリッドとカソードが挟まれた形となっている。 この球を使用したSEPPアンプの最大出力は6C19PSEPPアンプの最大出力をご参照いただきたい。 プレート電圧±150V330Ω負荷で10W弱が見込める。
  1. 使用部品
     シャーシーは奥澤O−8を使用し、両サイドには水性ニスを塗った側板を取り付ける。 底板は1.2o厚のアルミ板(通風孔、ゴム足付き)を取り付ける。
     電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルはPMC-115H(1H150mA)を2個、PMC-1006H(10H60mA)1個を使用する。
     マッチングトランスは業務用として製造された松下製W2−ST30(オークション入手)を使用する。 このマッチングトランスの規格は1次側330Ω-167Ω-COM、2次側8Ω-6Ω-COM、容量30Wとなっている。 リード線が側面引き出しとなっていたのでタカチ製MB-12Sに収めて取り付ける。下の写真参照。
     出力段はGE製7233、ドライバー段は東芝製12BH7A、初段は12AX7を使用する。 共通カソードに接続する定電流回路には手持ちの関係でソブテック製6BQ5(T)を使用する。
  1. 回路構成
     出力段用第1B電源は左右別とし、それぞれ280V200mAをブリッジ整流して±193V、最大DC125mAを供給する。 ドライバー段用第2B電源は170Vを倍電圧整流して供給する。 バイアス電源は4組の50V30mAをブリッジ整流して供給する。
     打ち消し回路はPNFB方式で、マッチングトランス1次側から6BQ5(T)のカソードへ帰還電圧を注入する。
     NFBは1次側と2次側をSWで切り替えが出来るようにする。

  2. 測定結果
     周波数特性では600KHZまでは目立ったピークやディップはなく、素直な特性を示していた。 600KHZ以上のピークやディップは問題ないと思われる。 高域遮断周波数は1次側から帰還した場合は約43KHZ、2次側から帰還した場合は約73KHZとなった。
     ひずみ率は4W付近まで1%以下に収まった。 周波数特性以外はNFBを1次側、2次側のいずれから掛けてもほとんど差は無かった。
     NFBは約10.5dBに設定、残留雑音は左右CH共0.18mV程度と優秀であった。 DFは1次側から帰還した場合は4.8、2次側から帰還した場合は7.8であった。 1次側からの帰還では2次側巻き線抵抗値の影響を受けて少し低くなっている。

  3. 最大出力
     入力約0.5Vでクリップ開始出力8W(1KHZ)が得られた。 最大出力が少し小さい原因は最大出力時のプレート電圧が±175V程度まで低下する影響と思われる。 10HZにおける最大出力は中域の28%程度まで低下しているが、20HZでは中域の約75%が得られた。

  4. その他
     シャーシー前面にテストピンとDCバランス、プレート電流測定用のトグルSW4個を取り付けた。 また、DCバランス、バイアス調整用VRは上面から調整できるように設置した。下の写真参照。
     下段のカップリングコンデンサーの耐圧は630Vでは不足するので必ず750V耐圧以上のものを使用しなければならない。
     市販品電源トランスの中にはSEPPアンプ用の製品は見当たらなく、特注せざるを得ないことがネックである。 また、W2−ST30は残念ながら製造中止となってしまった。


背  面  写  真


内部配線


DCバランス、バイアス調整用2連VRとケースに収めたW2−ST30、電解コンデンサー、CH

inserted by FC2 system