トリオトライアンプAF−10のメンテナンスその2   平成23年1月12日 


トリオトライアンプAF−10(その2)


《 はじめに 》
 平成23年1月に続き、今度は兵庫県豊岡市のTM氏よりトリオトライアンプAF−10のメンテナンスを依頼された。 すでに一部のペーパーコンデンサーはフィルムコンデンサーに交換されているとのことので、メンテナンスは簡単に終了すると思われた。

《 点検結果 》
 裏蓋を取り外して内部を点検した結果、気が付いたことは次の通りである。
  1. 電源部に使用されているブロック型電解コンデンサーは使用可能
  2. チューブラ型電解コンデンサーは絶縁不良のためすべて要交換
  3. 真空管のピンに錆が発生していたので要清掃、同じくソケットの金具も要調整
  4. AMFM高周波増幅回路へB電源を供給している抵抗が断線していたので要交換(1KΩ5Wと5KΩ2W)
  5. 出力管それぞれのカソードに5.1Ω2Wを挿入してプレート電流を測定したところ、6BM8の1本の劣化がかなり進んでいて要交換
《 問題発生 》
 上記コンデンサー、抵抗、6BM8(ペアーチューブ)などを交換の後、小型スピーカーを接続してSWを入れた。 出力管の両カソード間電圧は1〜3mVを示しているのでアンバランス電流は1mA未満である。 AM受信、AUX他の外部入力も問題なく動作し、FM受信以外は問題ない状態となった。
 ところが、しばらくして「バリバリ、バチン!」とロータリーSWの辺りで火花が散り、慌てて電源を切った。 ロータリーSWを取り外して分解点検した所、摺動端子と回転軸の間でスパークが発生した痕跡が見つかった。 拡大鏡で見るとベーク板にひび割れが発生し、その周りが炭化していた。
 これは修理不可能かと思ったが、その炭化した部分を小ドライバーで削り、瞬間接着剤をしみ込ませた。 その結果、絶縁状態が回復してきたので、さらに別の接着剤を塗り重ねて一晩放置し、翌日組み立てた。
 その後は火花が散ることもなく順調に作動している。この回路はAMチューナー部とFMチューナー部のB電源を切り替え、チューナーを使用しない時はブリーダーに電流を流す動作をさせている。同時にマジックアイの電源の入り切りも行わせている。 DC200VをロータリーSWで切り替えること自体に少し無理があったのではないだろうか。

《 FM調整 》
 FMの調整は電波状態が悪いためか、VR最大まで上げても小さい音のままであった。 IFTを調整しているうちに少し感度が上がったが、しばらくするとまた感度が低下する。再度調整すれば感度が上昇する。 これはIFTの内部が怪しいと思い、目星をつけたIFTを取り外して分解し、同調回路のコンデンサー20PFを交換したところ、俄然感度が良くなり、感度が変化することもなくなった。
 しかし、電波状態が悪くては歪が多く、最良点が見つけられない。そこでFM送信局がある隣町の知人宅まで持参し、調整を行った。

《 ダイヤル指針と周波数調整 》
 最後にダイヤル指針の調整が残っている。周波数が判っている放送(出来るだけ高い周波数と低い周波数が良い)を受信し、指針の位置を確認する。低い周波数は発振コイルの調整ネジで、高い周波数はバリコン上部のトリマーコンデンサーで調整する。
 アンテナコイル側のバリコントリマーを回して感度調整も同時に行いながら、この作業を繰返し、ダイヤル指針と受信周波数を一致させる。最大感度位置で指針が合わない場合は指針の位置調整が必要となる場合もある。今回も1cm程度移動させた。

 以上でメンテナンスは無事終了した。


上部写真

内部写真


交換した部品

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