5球スーパーラジオのリストアー         

5球スーパーラジオ


 このラジオはビクターのロゴマークが付いているが、木製ケースに国忠電化店店主が自分で配線した5球スーパーラジオを組み込んだものと思われる。 昭和20年代のラジオは電器店がケースや部品を集めて自作したものを販売していたようである。 このラジオは上部にふたがあり、レコードプレーヤーを組み込める構造となっているが、穴が空いているだけで、取り付けられていた形跡はない。
 使用真空管は6WC5、6D6、6Z-DH3A、UZ-42、80HKの5球である。所謂「5球スーパーラジオ」の語源である。 スピーカーは松下製6.5インチフィールド型ダイナミック型が使用されている。
 内部の部品、特にペーパーコンデンサー、電解コンデンサーは全滅であった。 すべて分解し、一から配線をやりかえることにした。 実施した作業は以下の通りである。
  1. 電源トランス上部カバーの塗装
    電源トランスの上部カバーは錆が出ていたので取り外してサンドペーパーを当て、黒色艶消し塗装を行った。 その際、真鍮製銘板は取り外し、塗装乾燥後に接着剤で貼り付けた。

  2. ヒューズホルダー、電源コード交換
    付属していたヒューズホルダーは2連の露出型であったので、感電防止を考えて筒型ヒューズホルダーに交換した。 電源ビニールコードも劣化していたので交換した。

  3. シャーシーの清掃と補強材取り付け
    写真参照

  4. 抵抗、コンデンサー類の交換
    コンデンサー類は一部のマイカコンデンサーを除いてすべて交換したが、抵抗類は半数を再使用することができた。VR2個も再使用。

  5. ダイヤルパネルのバックカバー交換とパネルの補強
    写真参照

  6. ダイヤル回転用の糸を交換
    バリコン、ダイヤルパネル指針を駆動する糸は50年以上経過していると思われるので、船釣り用テトロン撚り糸(7号)に張り替えることにした。
 配線が終了し、電源を入れてしばらくすると、SPから放送が流れてきた。配線に間違いはなかったようである。 アンテナ線を大地アースに接続、所謂「電灯線アンテナ」にして調整を行った。なかなか感度も良くキャビネット容積が大きい効果で、なかなか良い音である。 以前自作した高周波1段中間周波2段増幅の通信機用と比較して、音域が少し広く、聴き易い音である。とても「HiFi」とは言えないが、昔懐かしい音がするラジオである。



配 線 図


背  面 (国忠電化店のシールあり)


裏ぶたを外した背面


上部のふた (レコードプレーヤーが内蔵可能)


内部シャーシー前面 (ダイヤルのバックパネル交換とアングルによる補強)


内部シャーシー後面


シャーシー内配線 (アルミ板による前後の補強)


6.5インチフィールド型ダイナミックスピーカー (松下製)

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