真空管アンプ自作マニアの独り言(2008年度分) 次頁へ 最初の頁へ
名ばかりの12AT7A 《平成20年10月5日》
 先日、EL−34(T)PPアンプを改造する際に、数年前に購入した中国製12AT7Aを使った。
 あらかじめプレート特性図から計算して動作点を次の様に予測していた。
  プレート電流    1.5mA
  プレート電圧    100V
  カソード電圧    1.65V
 ところが実際に測定してみると予想とは異なり、
  プレート電流    2.4mA
  プレート電圧    80V
  カソード電圧    2.64V
であった。
 これはどこかで計算間違いをしていると、再度プレート特性図にロードラインを引いて計算したが如何に考えてもプレート電圧80V、バイアス−2.64Vでプレート電流2.4mAはおかしい。 全く辻褄が合わない。
 ふと、12AU7のプレート特性図上にロードラインを引いてみたところ、今度は辻褄が合っている。 この球は12AU7かと思って確認しても、刻印は右下の写真の通り12AT7A/ECC81である。
 そこで特性確認のため、一部分のプレート特性図を作成した。右上の図がその測定結果である。

 黒い曲線はメーカー発表の12AT7Aのもの、赤線が測定した12AT7Aであるが、この図を見れば12AU7そっくりのカーブであることがわかる。 また、図からμを計算すれば19.5程度となる。 この球は12AU7と断定して間違いないようである。
 実測する前は全く別の球として取り扱う必要があると考えたが、12AU7として使用するのであれば問題ない特性を示していることがせめてもの救いである。
   刻印を間違えたものか、故意に変えられたものかは判らないが、中国製は食品に限らず、全く信用できないことを痛感させられた。 皆様も十分注意されたい。


6080の暴走 《平成20年5月31日》

 昨年から今年にかけて6080を使用したSEPPOTLアンプ4台(ステレオ形式2台、モノラル形式2台)を自作したが、調整中に何度か暴走現象に遭遇した。 そのため、数本の6080を劣化させてしまったが、管球内部にあるカソード引き出し線の溶断までは至っていない。

6080WC×2SEPPOTLステレオアンプ2号機

上のページを参照されたい。

 一般に6080はプレート電流が安定するまでに10分以上の予熱時間が必要であり、バイアス調整においてもプレート電流の変化が非常に緩慢なため、手間のかかる鈍感な球と思っていた。 しかしながら一度過大な信号(クリップする程度)を加えたときプレート電流は加速度的に増加する性質を秘めている。

 私の自作アンプでもプレート電流測定用に取り付けた2W型酸化金属皮膜抵抗が一瞬にして焼ききれる現象に何度も遭遇した。 3W型のセメント抵抗に交換してからは焼損することはなくなったが、今度は電源のヒューズが溶断することがある。

 自家用であれば故障しても何とか対処可能であるが、市販することは難しいであろう。 たとえば、動作状態で入力ピンジャッグの抜き挿しなどしようものなら、かなりの確率で暴走を起こす代物である。 何重にも保護対策を講じていなければたちまち故障してしまう。

 実際の使用にあたっては、最大出力を2ユニットパラで10W程度と控えめにする必要がある。 そのためには、プレート電圧を150V未満まで低くし、グリッドリーク抵抗も100KΩ未満で使用しなければならない。
 6080SEPPOTLアンプの既製品が少ないことは以上のようなことが理由かも知れない。 6336であればこのような現象は起きないはずであるが、1本当たりの単価は約10倍である。


JBL4311と球形ツイーター 《平成20年5月10日》

 先日の実験でJBL4311は1600HZ以下であればかなりの線を行くことが判明したので、球形スピ−カーと組み合わせてメインシステムに使うことにした。 受持ち帯域は159HZ〜1590HZとし、球形ツイーターはそれ以上である。 最初、球形ツイーターは正面を向けていたが、少し高音がきつい音がするので上向きに変えたところ、天井からの反射音とミックスされて大変聴きやすい音になった。 立ち上がると直接音の割合が増加して良くない。
 この状態では少し音源が上に広がり、少し不自然な感じになるかと思ったがそれほどではない。 人間の耳は左右についているので上下の感覚は少し鈍感なのではないだろうか。
 初めは最初4311のスコーカーを切り離して使用していたが、スコーカー用アッテネーターのレベルを少しだけあげたたところ、中音と高音のつながりが良くなり、今までで最高の音となったと思う。 しかし、エンクロージャーはお世辞にも良いとはいえないので、そのうち箱を何とかしたいと構想を練っているところである。
 この4311は廃棄寸前の状態であったものを頂いた代物であるが、ミッドバスとして蘇らせることが出来た。 しばらくは球形ツイーターとの組み合わせで楽しめそうである。

JBL4311と球形スピーカー


JBL4311の測定結果 《平成20年4月18日》

 JBL4311を2ウェイにすれば聴き易い音になったので、4通りのパターンを設定してその特性を測定した。
  1. スコーカーとツイーターのアッテネーターを12時方向
  2. スコーカーのアッテネーターのみ9時方向
  3. スコーカーを切り離し、2ウェイ
  4. FT48Dと組み合わせ、クロス周波数1,600HZでマルチアンプ駆動
マイクロホンとSPの距離は1m、高さは80cmにて測定した。 また、床からの反射波を軽減するため、マイクロホンとSPの間の床に毛布を敷いた。


スコーカーとツイーターのアッテネーターを12時方向


スコーカーのアッテネーターのみ9時方向


スコーカーを切り離し、2ウェイ


FT48Dと組み合わせ、クロス周波数1,600HZマルチアンプ駆動

 上から下に行くに従い、クラシックは聴き易い音に変わったが、ジャズでは少し物足りなくなる。 このことは周波数レスポンスから見てもある程度読み取れる。1000HZ以下ではほとんど同じであるが、それ以上ではかなりの差がある。 これだけの暴れがあればきつい音がしても致し方ない。
 このスピーカーはかなり古いもので、最初からこのような特性であったか否かはわからないが、少なくともスコーカーに問題があると思われる。 スコーカーとツイーターを切り離し、ウーハーだけで使用すれば何とか使えそうである。
 しかし、エンクロージャーを何とかしたいものである。また、能率はかなり低く90dB未満ではないだろうか。


JBL4311その後 《平成20年3月22日》

 4311単体では弦の音がまったくだめであったので、使用帯域を1590HZとし、それ以上はFT48Dを使用して2CHマルチアンプで鳴らしてみた。 ツイーター、スコーカーのアッテネーター最小位置に合わせている。
 その結果「キャンキャン」と言う弦の響きは消え、大変聞きやすい音になった。 低音は30cmウーハーによるバスレフ構造であるが、箱が小さいので最低共振周波数は少し高いと思われる。
 どうやら「キャンキャン」はウーハーに高い周波数まで受け持たせていたことが原因のようである。 4311のネットワークはコイルが使用されてなく、コンデンサーとアッテネーターで構成されている。 したがってウーハーには全域の信号が加わっていることになる。
 スピーカーは口径により、自ずと得意な帯域があり、不得意な帯域まで受け持たせれば悲鳴を上げることは至極当たり前のことである。 「シングルコーンスピーカーで全帯域を再生することは至難の業である」と強く感じた。


JBL4311 《平成20年3月14日》

 先日、JBL4311を入手した。かなり古いモニタースピーカーであるが、片側はスコーカーとツイーターのセンターキャップが破けていた。 その上、ツイータは何かがあたったようでエッジから大きな裂け目が入っていた。 おまけにコーン紙は直射日光に晒されていたのか灰色に変色してかなりひどい状態であった。 幸いにボイスコイルは断線していなかったので、修理を試みることにした。
 破けたスコーカーのセンターキャップは切り取り、障子紙を水で湿らせてから半球状に整形したものを取り付けた。 センターキャップは裏側に補強紙を張り付けている。 ツイーターはセンターキャップとコーン紙部分に障子紙を糊付けしたのみである。
 最後にウーハーのセンターキャップと合わせて墨汁を塗って仕上げした。離れて見ればどちらを修理したのか判らないほどである。 しかし、見違えるほどの出来栄えに仕上がったと思ったのもつかの間、墨汁は炭素の粉であるから電気が流れる。 もしや短絡状態ではないだろうか。そこで、スピーカー端子とコーン紙間の導通をテスターで調べたところ、約50KΩであった。 この程度であれば、影響はないだろうと安堵した。「にかわ」が入っているので強度が増すであろうと思ったのが、失敗であった。
 肝心の音の方であるが、修理したことをまったく感じさせない状態であった。 しかし、このスピーカーはピアノには非常に良く合うが、オーケストラはまったくだめである。 「キャンキャン」、「カーカー」と聞けたものではない。 年月が経過した影響であろうか、それとも元来こういう傾向の音なのであろうか、見識不足の私にはわからない。
 現在、2CHマルチの低音用に、あるいはミッドバスとして使用出来ないか調整中である。 使用帯域は2CHマルチのときは1590HZ以下、ミッドバスのときは159〜1590HZである。

修理完了したJBL4311


PW-A20引退 《平成20年1月12日》

 長らく使用してきたPW-A20であるが、30年経過して磁力も低下していると思われるのでこのだび引退させることにした。
 後継はFF165Kである。BOXをそのまま使用するため、バッフル板のみ製作した。それと同時にツイーターをFT17Hに交換した。 FT207Dと比べて9dB能率が高いので固定式アッテネーターを取り付けた。 FT17Hも同様にFT207D取り付け穴の上にドーナツ型バッフル板をはさんで取り付けた。 (右の写真参照。)
 2個のミッドバス(スコーカー)を交換した結果、ピアノのアタック音が改善されたと思う。 また、高音についてはホーン型の方が澄んだ音がすると思われる。
  なお、FF165Kはバックロードホーンから取り外したものを使用したので、セカンドシステムはしばらくお休みとする。 出来ればFW168NかFW167あたりを購入して比較したいと思っている。
 ミッドレンジ(スコーカー)から不要な中高音を出さないためにも、フルレンジSPよりはウーハーの方が良いと思われるが、今度は等価質量が大きくなってしまう。 しかし、最近の16cmウーハーは再生範囲が広く、10KHZ辺りまでカバーしているので、なかなか選択が難しいところである。
 これですべてフォステクススピーカーを使用した4ウェイシステムが完成した。

   5500HZ以上      FT17H
   1590〜5500HZ    F120A
   338〜1590HZ     FF165K
   338HZ以下       FW305

バッフル板を製作して取り付けた
FT17HとFF165K



6080の実力 《平成20年1月3日》

 以前、兵庫県にお住まいの方が6080×4SEPPOTLアンプを製作されたときにお手伝いさせていただいたことがあったが、6080に対する認識が少し甘かったかも知れない。 値段は安いが特性はバラバラ、ドライブ電圧はピーク値で100V近く必要とするとても扱いにくい球と思っていた。
 昨秋、6080×2SEPPOTLアンプを製作したが、、前段の供給電圧を500V超に、最大出力時の出力段供給電圧を±170V以上に保つことにより、予想値よりもかなり大きい最大出力が得られた。 17KV6A×6SEPPOTLとほぼ同じ最大出力が得られたことになる。
 ここで、17KV6A×6、6080×2SEPPOTLアンプのヒーター電力+プレート入力(無信号時)と最大出力を比較してみた。 その結果が下表あるが、6080の方が17KV6Aよりもかなり効率が高いといえる。 発熱量も抑えることが出来て好都合であるが、歪みが少し多いことが欠点である。
 
 
ヒーター電圧
ヒーター電流
ヒーター電力(Hp)
プレート入力(Pp)
最大出力(Po)
効率Po/(Hp+Pp)
6080×2
6.3V
2.5A
31.5W
28W
19W
32%
17KV6A×6
16.8V
0.6A
60.48W
72W
18W
14%

 この球は内部ユニットのバラツキが大きいので、個別のバイアス調整回路を設けた方が使い易い。 しかし、グリッドリーク抵抗が大きいと暴走し易いため、100KΩ以上にすることは危険である。
 (メーカーはこの球の固定バイアスでの使用は推奨していない。)
 したがって、個別バイアスで4ユニット並列は難しく、単なる並列使用にならざるを得ない。 (前段の交流負荷抵抗が極端に低くなる。)
 2ユニット並列でも個別バイアスを採用した場合は前段の設計が難しいが、プレート供給電圧を出来る限り高くすることにより、交流負荷抵抗20KΩからピーク値±100Vを取り出すことが可能となる。
 これからは、6080を使用したOTLアンプを製作する機会が多くなりそうである。


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