ボウリングボールとFT48Dを使った球形スピーカー   平成20年4月10日    


ボウリングボールに取り付けたFT48D (色違いはご愛嬌)右は以前の状態

《 はじめに 》
 球形エンクロージャーが音の回析効果よる周波数レスポンスが最も平坦となることは良く知られているが、実際に木材で製作することは素人の私には難しいと諦めていた。
 私はオーディオとは別に第2の趣味としてボウリングをやっているので、我が家には使わなくなったボウリングボールが5〜6個転がっていた。 ふとこのボールをくり抜いてツイーター(フォステクスFT48D)を取り付ることは出来ないだろうかと考えた。 いざ、作業を開始してみると意外と簡単で2日間で2個が完成した。

《 製作過程 》
 右の写真はその製作過程である。最初はくり抜き穴(直径94mm)の円周に沿って3.5mmドリルで穴を空けた。(右上の写真) 次にノミで少し削ったあと、8mmドリルで必要な深さまで穴を空け、更にノミで削って整形した。 なお、一気に深い穴を空けるとドリルの刃が非常に高温となるので、冷却水を用意し、途中で刃を冷やす必要がある。 水にドリル刃を浸すと「チュン」と音がするので100度は超えている。 さらに温度が上がれば削ったプラスチックが溶けて摩擦が急増するので注意が必要である。
 次に木工ヤスリで穴の外側を平らに削り、FT48D本体の外径寸法に合わせ、SP取り付けねじ用に3.5mmの穴をあけた。(右側下の写真) ボウリングボールの外部はウレタン製であるので木ねじで取り付け可能である。実はこの平らに削る作業が一番体力と時間を必要とした。 最初は荒目の木工ヤスリを使用しなければ大変である。そのあと目の細かいヤスリとサンドペーパーで仕上げする。
 ケーブルを通す経路は、サム(親指穴)を後ろ側にして、その穴とツイーター取り付けスペースとを10mmドリルで貫通して設けたが、問題は設置の仕方である。 使用したボールは15ポンド(約6.7Kg)とかなり重いので転がってしまっては大変である。 そこで、平坦な空き缶の上に置くことにしたが、この方法は上下左右に自由に向きを変えることが可能で非常に便利である。

《 測定結果 》
 測定はホワイトノイズを使用し、コンデンサーマイクロホン距離1m、床上75cmで実施した。 なお、1,600HZ以下が−12dB/octで減衰している原因はハイパスフィルターを通しているためであり、SPの特性ではない。 カタログデータではもう少し低い周波数までカバーしている。
 問題の周波数レスポンスであるが、非常に満足できる結果が得られた。右の上側グラフが以前の状態、下側が球形の測定結果である。
 これほど平坦な音圧となるとは驚きであり、特に5,000HZ以下の改善が顕著で、フィルターの特性がそのまま現れている。 14,000HZ以上が減衰している原因は良く判らないが、マイクロホンの特性かも知れない。

《 まとめ 》
 肝心の再生音については良くなったような気もするが、今のところ変化はほとんど感じられない。今後、いろいろなソースを聴いて確かめて行きたいと思っている。
   内部をくり抜くことは大変な作業となるので、容積が必要なコーン型スコーカーには無理であるが、ホーン型やドーム型ツイーターであれば加工が比較的簡単である。
 なお、安いボウリングボールであれば1個数千円で色とりどりのものが入手可能である。中古のボールで構わないのでボウリング場へ行けば只で譲ってくれるかも。 また、うまく頼めば、ケーブル用の貫通穴を空けてもらえるかも知れない。

最初の穴あけ作業実施後


加工終了。真ん中の穴は後ろまで貫通。


以前の状態の測定結果


球形の測定結果

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