マルチチャンネルアンプのSP極性    

 マルチチャンネルアンプ方式のレベル調整は、最近ではテスト用CD(ホワイトノイズ)の利用で比較的簡単に行えるが、各スピーカーの極性の決定は、なかなか難しい作業である。
 本来12dB/OCTのデバイダーを使用するときは、クロスオーバー周波数では180度の位相変化を生じるため、SP接続を逆極性にすることが当然であると考えていた。 また実際に瞬間的に極性を変える装置(第4図)を使って音を聞きながら切り替えを行ったが、どちらが正解かの判定はなかなか難しい。 ツイーターの位置を1cm前後に動かしただけでも音が変化してしまう。< br>  先日、「Cool Edit 2000」の存在を知り、早速ダウンロードし、測定したので、その結果を発表する。 私はコンデンサーマイクロホン手持ちがあったので使用したが、普通のダイナミック型でも使えると思う。

 (第1図)ウーハ−、スコーカ−、ツイーターを正逆正と接続

 (第2図)ウーハ−、スコーカ−、ツイーターを正正正と接続

 (第3図)ウーハ−、スコーカ−、ツイーターを正正逆と接続

 マイクロホンの位置はツイーター、スコーカーの正面1mで測定(第6図、第7図参照)

 どの組み合わせでも1800HZあたりにディップがあるが、明らかに第3図の接続がクロスオーバー付近のディップが消えて一番フラットになる。 これは私の部屋のウーハ−の位置(第7図参照)にも関係していると思われるので、一概にこの方法がよいとは言えない。 試みに、マイクロフォンをウーハーとスコーカーの中心(実際の聴取位置とは違う)にセットして測定すると、第1図の方法が一番良い結果が得られる。
 クロスオーバー付近(特にスコーカーとウーハー)の特性は、聴取位置により常識とは違った結果になる場合がある。 ウーハーを横に設置した場合や、ホーン型SPを使用する場合等では、再生音が耳に到達する距離に差が生じ、位相差が発生する。 いずれにしても、各SPの接続は、実際にSP極性を変えて音を聞くか(これがなかなか微妙で難しい作業であるが)、レスポンス測定を実施して決定する必要があると思われる。

 なお、この実験の後、SP配置をツイーター、スコーカー、ウーハーを縦一列に変更した。(トップページの写真参照) この状態では、基本通りスコーカーのみを逆極性に接続した場合が一番フラットな結果となったが、変則的なスピーカー配置の場合は注意が必要である。
 その測定結果を (第4図)ツイーター、スコーカー、ウーハー縦一列 に示す。 前回の測定時とは違って、ツイーターにはFT−17H、スコーカーにはP−610を使用、しかも、マイクロフォン位置はRLスピーカーの中間点(通常の聴取位置)で測定したため、中音域の暴れが少し大きくなった。 あまり参考にならないかも知れない。 (平成16年10月14日)



第 5 図

第 6 図

第 7 図
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