マルチチャンネルアンプのスピーカー極性パートU   平成16年1月29日    

 前回(平成15年5月)はウーハーを横奥に置いた状態で測定したので、常識とは違った結果になった。 再確認を兼ねて、今回はウーハーの上にスコーカーとツイーターを縦に並べて測定を試みる。 同時にホーン型ツイーターもテストする。
 下表の「測定条件図A〜D」の設定でツイーターとウーハーの極性の切替を行ってレスポンス測定を実施した。 ただし、実際に音楽を聞く場合のスピーカーの位置とは違って、部屋の中ほどにウーハーを横置きし、その上にスコーカーとツイーターを置いた状態の測定であるから、スピーカーを定位置に設置した場合と若干の違いが生じると思う。
 なお、前回の結果は本HP中 「マルチチャンネルアンプのスピーカー極性について」 のページを参照されたい。
 マイクロホンの高さはスコーカーとツイーターの中間(h=730)に、マイクロホンとスピーカーの距離は条件A、B、Dでは、スコーカー前面から1000mmに、条件Cではウーハーの前面から1000mmに合わせた。

 なお、測定にはCool Edit 2000とホワイトノイズ、及び下記の装置を使用した。
  コンデンサーマイクロホン ト ー ア RD−7E
  ウーハー         フォステクスFW305(8Ω140Lバスレフ)
  スコーカー        三   菱 P−610(16Ω)
  ドーム型ツイーター    テクニクス 10KH50(6Ω)
  ホーン型ツイーター    テクニクス 5HH17G(8Ω)
  チャンネルデバイダー   自   作 真空管NF型12dB/oct−6dBクロス


《 測定条件図 A〜D 及び、測定結果 》


《 まとめ 》
 ウーハーとスコーカーのクロスはC−2図D−1図の条件がフラットに近くなった。前面 を揃えた場合は同極性、逆極性のどちらもつながりが良くない。
 スコーカーとツイーターのクロスは A−1図B−2図C−1図D−1図 の条件がフラットになった。すなわち、同極性か、ツイーターを後退又は前進させた逆極性が良い結果になった。 ドーム型ツイーターとコーン型スコーカーの組み合わせでは音波の発生位置の違いによりこの現象が起きると思われる。
 総合ではD−1図(すべて同極性)の条件が最も良く、D−2図の条件が最も悪いと判断できる。 C−2図ではマイクロホンとウーハー、スコーカーとの距離差が少なくなりなくなり、理論通り逆極性がフラットである。
 前回の測定結果と違って、スコーカーとツイーターは、なぜ同極性接続がフラットになったのであろうか。 スピーカーの設置場所の違い、使用スピーカーの違いがあるにしても不思議な現象である。(マルチチャンネル方式のスピーカー極性パートVの結果からスピーカーの違いが原因と思われます。)
 いずれにしても、一般常識とは違った結果になったが、これにはマイクロホンと各SPの距離差(各スピーカーと耳の距離差)いわゆる「時間差」、マイクロホンの高さ等が関係していると思われるので、スピーカーを前後又は左右に移動して最適位置を見つける必要がある。 また、実際の聴取位置にマイクロホンを設置すれば別の結果になる可能性が有る。 なお、1700HZ辺りのピークとディップは部屋の構造、若しくはスピーカーボックスの形状によるものと思われるので、聴取位置での検証と合わせて、今後の課題とする。
 ホーン型ツイーター(5HH17G)を使った場合、あまり良い測定結果が得られなかった。 (A-3,A-4,B-3,B-4図)
   この測定を通して、マルチチャンネルスピーカーシステムの設定の難しさ、奥深さと同時に、レスポンス測定の必要性を痛感した次第である。


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