スピーカー間隔と周波数特性変化  平成17年12月12日 
  1. はじめに
     これまでスピーカーの前後位置、内向き角度等による周波数特性変化を測定してきたが、試行錯誤の連続であり、気に入った再生音に出来なかった。 特に1,700HZ辺りの耳障りな音、そしてなんとなく不足気味の中低音域が納得できなかった。 先日左右のスピーカーの間隔を変えたところ、音がかなり変化することに気がついた。 今までどうしてこのことに気がつかなかったか残念でもあり、反省している。 改めて、スピーカー間隔と周波数特性変化について測定を実施することにした。

  2. 測定方法
     左右のスピーカーの間隔を82cmから182cmまで20cmごと、6位置で周波数特性を測定した。 マイクロホンの位置は左右のスピーカー中心から200cmの位置にセットし、スピーカーの内向き角度はマイクロホンの方向に合わせた。右の測定位置図参照。 音源はテストCDのホワイトノイズを使用し、コンデンサーマイクロホンで受けた信号をパソコンソフトで解析した。
     スピーカーは10KH−50、F120A、FW−305を使用し、クロスオーバー周波数は289HZ、4,818HZである。

  1. 測定結果
     スピーカー間隔82cm、102cm、122cm、142cm、162cm、182cmの6位置で測定した周波数特性を次に示す。
  (1)スピーカー間隔82cm


  (2)スピーカー間隔102cm


  (3)スピーカー間隔122cm


  (4)スピーカー間隔142cm


  (5)スピーカー間隔162cm


  (6)スピーカー間隔182cm


  1. 考察とまとめ
     スピーカー間隔が狭い場合、1,700HZ付近のピークが大きく、400HZから1,200HZ付近の音圧レベルが下がっているが、広げていくに従い、1,700HZ付近のピークが消え、400HZから1,200HZ付近の音圧レベルが上昇していくことが良く分かる。 10,000HZ以上のレベル低下は音のマイクロホン入射角度の問題と思われる。 しかし、測定中にマイクロホンの位置は変えていないが、この現象はマイクロホンの位置が多少なりとも影響しているかもしれない。
     今まで、左右のスピーカーの間隔は155cm程度に合わせていたが、10〜30cm程度間隔を広げただけで、かなりの音質改善効果が得られた。 耳障りであったピアノの余韻が改善され、バイオリンやチェロ等の弦楽器の響きに厚みが感じられるようになった。 特に中音部のレベル上昇が貢献していると思われる。なお、間隔を狭くした場合の周波数特性はデータ上では良くない。
     しかし、以上の改善効果は、固有のリスニングルームにおけるものであり、すべての場合に当てはまる現象ではないが、スピーカーの位置、角度等が再生音の品位に大きく影響することが判った。 また、理由はよく判らないが、フラッターエコーも改善されているようである。
     なお、低音部のレベルが上がっているのは、「個人的好み」とお笑いください。


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