6C19P(6S19P、7233)SEPPアンプの最大出力  平成17年4月13日  


 6C19P(7233)はSEPPアンプの出力管としての使用例が多く、一度使用したいと思っていたが、Eb-Ib特性曲線がWEBで検索してもなかなか見つからなかった。 6C19Pで検索しても2極管しか見つからず、何かの間違いではないかと思っていたが、ロシア文字の「C」は英語圏では「S」であることに気付き、6S19Pで検索してやっと見つけることが出来た。 しかし、見つかったEb-Ib特性曲線にはEc=0Vのデータがなく、Ec=−5Vまでしか表示されていない。 この球はグリッド電流が流れ易いのかもしれないが、とりあえずEc=0Vを推定で作成したものが第1図である。 それに基づき、負荷抵抗対最大出力、プレート電圧別並列本数対最大出力(8Ω)のグラフを作成した。
 したがって、今回は誤差が少し多目と思われるが、あくまでも、目安としてのデータであるのでご容赦願いたい。
 今回もプレート電圧150Vを基準に計算したが、プレート損失の兼ね合いでB級に近い動作条件にしなければならないため歪が多目と予想される。 実際に製作する場合は、最大出力の低下には目をつぶってプレート電圧を±130V以下に設定し、出来るだけAB級に近づけた方が歪の点からは有利ではないだろうか。
 第1図から計算により求めた負荷抵抗対最大出力(第2図)及び、並列本数(n)別 プレート電圧対最大出力(第3図)を次に示す。 許容プレート損失11Wの9PMT管とは思えないほどの最大出力が得られている。n=1の時の最適負荷抵抗は170Ω付近にあり、その時の最大出力は11W(Ep=150V)程度となる。 4本パラにすれば8Ω負荷、プレート電圧150Vの条件で25W程度の出力が得られそうであるが、プレート電圧130Vでは18W(8Ω)に低下すると思われる。 6C19Pはプレートの引き出し線が4本も取り付けられていて、小型管で11Wのプレート損失を確保しているようである。 6080の1ユニットにほぼ匹敵する能力と思われるが、ヒーター電力については6080の1ユニット相当値(6.3V1.25A)の80%(6.3V1A)と少し有利である。 大型の水平出力管と比較すれば流石に最大出力が小さくなっているが、17KV6Aとの比較では、内部抵抗が少し小さい関係で最大出力は大きくなる模様である。
 この球のプレート特性によれば、バイアス電圧が−50V前後の使用条件となり、6C19P(7233)をフルスイングできない場合には最大出力が低下する可能性があるので、前段の設計には注意が必要である。 なお、4本パラであればステレオ仕様で16本の使用になるので、ヒーターを直列にすればAC100Vで点火可能であることがメリットと言えるかもしれない。




第1図 6C19P(6S19P、7233)Eb−Ib特性曲線(Ec=0Vは推定)



第2図 6C19P(6S19P、7233)負荷抵抗対最大出力
(プレート電圧150Vにて計算)



第3図 6C19P(6S19P、7233)並列本数(n)別 プレート電圧対最大出力


6C19Pと7233ではカソード引き出しピンが異なっているので注意が必要である。


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