SEPPOTLアンプのバイアス電源   平成22年10月14日    
 SEPPOTLアンプでは、出力段のバイアス電源がOTLアンプの製作を困難にする要因となっているのではないかと思う。
 一般的にSEPPOTLアンプのバイアス電圧供給方法としては下図の通り3通りが考えられる。
 また、この中の2つの方法を組み合わせることも可能である。


《 第1図の方法 》

 この方法は電源トランスに2個の専用巻き線が必要となり、トランスを特注するか、別に小型トランスが必要である。
 方法としてはこれが一番良いと思うが、ステレオアンプ形式とする場合、トランスの端子数が規格を超えて、メーカーによっては特注を受けてくれない場合がある。
 その場合、バイアス巻き線の取り出しをリード線タイプとするなどで対応しなければならない。
 私のマルチチャンネルアンプもほとんどこの回路を採用している。 なお、6.3V巻き線の余裕が2〜4組あれば6.3Vあるいは12.6Vの3〜5倍圧整流を利用することも出来る。


《 第2図の方法 》

 第2図の回路では上側の出力管のバイアス電圧の安定性に問題があり、±B電源が電圧降下を起こすと、バイアスが浅くなる。
 しかし、専用電源が不必要で簡単なので、このホームページ掲載の17KV6A×4SEPPOTLアンプはこの回路を採用している。


《 第3図の方法 》

 この方法はバイアス用の専用巻き線を必要としないので製作は容易であるが、下側の出力管のバイアス電圧が、第1B電源の電圧変動に大きく影響され、大出力時にはバイアス電圧がかなり深くなる。
 私も最初に製作したSEPPOTLアンプはこの回路を採用していたが、トランスを特注したことにより、現在は使用していない。


《 バイアス電源安定化の是非 》

 雑誌等で、バイアス電源を安定化した製作例を良く見かけるが、この場合AC電源の変動が出力管プレート電流に与える影響が非常に大きくなる。
 たとえば、AC電源電圧が5%増加した場合、バイアスを安定化しているとプレート損失はおよそ13%(1.05の2.5乗)増加するが、安定化していない場合は7.5%の増加におさえることが出来る。
 したがって、バイアス電源のみの安定化はすべきではなく、安定化する場合はB電源もあわせて安定化しなければ意味がない。

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