SEPPOTLアンプに於けるリップル打消し効果  平成22年10月12日  

《 はじめに 》

 以前から、自作SEPPOTLアンプでは、CHコイルを使用しない「リップル打消し法」を多用してきたが、100HZ歪率が低下しないなど、その効果に疑問を感じていた。
 そこで、リップル除去法として「リップル打消し法」「CHコイル(0.55H)挿入法」についてFFT解析による比較を実施した。 参考のため、CHコイルを使用しない場合の解析も合わせて実施した。

《 測定条件 》
  1. 測定に使用したアンプは17KV6A×4SEPPOTL(回路図参照)
  2. 「リップル打消し法」は第1B電源マイナス端子から47μF350V、47KΩを経由してリップル電圧を初段カソードに注入(回路図参照)
  3. CHコイル法は267μF−0.55H−750μF(1500μF直列)のπ型フィルターを使用
  4. CHコイルを使用しない時は端子間を短絡
  5. 100HZ、1KHZ、10KHZについて各々出力0.1Wと1Wで解析

《 測定結果 》

 リップル(120HZ)に対しては「リップル打消し法」「CHコイル(0.55H)挿入法」とも−25dB以上の除去効果が見られるが、 混変調歪(結合音)については「CHコイル(0.55H)挿入法」がすぐれている。
 「リップル打消し法」では増幅段の非線形による相当量の混変調歪(結合音)を発生している模様である。 注入したリップル電圧は、主に出力段の残留リップル(120HZ)およびその高調波(240HZ,360HZ...)の低減に対して効果を発揮していると考えられる。 その他の周波数では「CHコイルなし」と大差がない。また、f ± n × 120(HZ)などにかなり大きなピークが発生している。 100HZのデータでは20HZ(差音)と220HZ(和音)のピークが特に大きい。

《 まとめ 》

 やはり、CHコイルを用いてリップルを除去する方法が良い結果が得られるのであって、「リップル打消し法」はあくまでも便法である。 なお、今回使用したCHコイルは0.55Hであるが、1H以上のCHであれば更に好結果が得られるのではないだろうか。
 「リップル打消し法」「CHコイル(0.55H)挿入法」「CHコイルなし」の比較は以下のFFT解析グラフを参照されたい。



《 100HZ 0.1W 》

リップル打消し


CHコイル(0.55H)挿入


CHコイルなし



《 1KHZ 0.1W 》

リップル打消し


CHコイル(0.55H)挿入


CHコイルなし



《 10KHZ 0.1W 》

リップル打消し


CHコイル(0.55H)挿入


CHコイルなし



《 100HZ 1W 》

リップル打消し


CHコイル(0.55H)挿入


CHコイルなし



《 1KHZ 1W 》


リップル打消し


CHコイル(0.55H)挿入


CHコイルなし



《 10KHZ 1W 》


リップル打消し


CHコイル(0.55H)挿入


CHコイルなし



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