出力トランスの定損失 平成22年1月17日 |
《 OPTについての基礎知識 》
出力トランス(以降OPT)の解析はアマチュアにはかなり難解な理論であるが、中域に限って等価回路を作れば比較的容易である。 ここでは武末氏の著書を参考にしながらOPTの定損失について考えることにする。 OPTの規格表には
また、ほとんどのOPTにはSG端子が設けられているが、SGタップはB−P間の43%位置から取り出されているものがほとんどである。 なお、PP用では1次側電流は逆方向に流れ直流磁化は発生しないが、シングル用では直流磁化の影響が避けられないので、コアーに空隙を設けるなどして影響を小さくする対策が取られている。 そのため、シングル用では巨大なコアーに太い銅線を多量に巻かなければ1次側インダクタンスを大きくすることが出来ない。それでもPP用と比べて1桁低い値となっている。 《 OPTの効率と定損失 》 右の第1図がOPTの等価回路、さらに中域について影響の小さいパラメーターを省略した簡易等価回路が第2図である。 OPTの電力効率は1次側入力電力に対する2次側出力電力割合であるから下の計算式で求めることが出来る。 電力効率=出力/入力×100% あるいは 電力効率=出力/(出力+損失)×100% 損失は1次2次巻線抵抗による発熱量の合計として計算できるので、第2図の等価回路から導いた電力効率計算式は次の通りとなる。 伝送損失(dB)は上の電力効率をdBで表示したものであるから、 |
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この値は周波数に無関係となるので「定損失」と呼ばれている。 市販されているOPTの定損失はプッシュプル用で0.2〜1dB(効率96〜89%)、シングル用で0.3〜1.5dB(95〜84%)程度である。 特に小型シングル用では実に15%以上の電力がOPTで消えてしまうことになる。 《 定損失の計算例 》 |
では、実際にOPTの定損失を試算するとどうなるだろうか。右の第3図はFW−20Sの端子配列と1次、2次のインピーダンス、巻数比(n)である。 定損失は巻数比(n)、1次と2次の巻線抵抗(r1、r2)、負荷抵抗(Zs)の4個のパラメーターが判れば求めることが出来る。そこで残りの1次、2次の巻線抵抗を実測した結果が下の第1表である。 このとき注意しなければならないことは、1Ω未満の値を正確に測定する方法である。 一般的にはブリッジを使用しなければならないが、最近のデジタルテスターには低抵抗測定レンジがあり、かなり正確であるので、今回はそれを使用した。 なお、測定時の温度は6℃であったので、実際の使用温度を50℃と仮定して換算した値が右の第2表である。 |
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