変流器内蔵整流型交流電流計改造記  平成17年3月25日  


 デジタルテスターの直流レンジには500mA程度のヒューズが挿入されており、気を付けていても過電流でヒューズを飛ばしてしまうことが多い。 また1台のテスターでは、電流測定時に電圧が測定出来ないことが大変不便であり、以前から500mA程度の直流電流計がほしいと思っていた。
 手元に、20年以上前に製造された5A交流電流計が2個転がっていた。一般に交流電流計には可動鉄片型のメーターが使用されているが、この電流計の銘板をよく見るとダイオードのマークが付いている。 さては、可動コイル型の直流メーターではないかと、分解したところ、やはり「変流器内蔵型整流型電流計」であった。 (この名称は私が勝手に付けたもので、正式名称ではないと思う。)そこで、自称「自作マニア」として、電流計の改造に挑戦する。
 分解して調べたところ、メーターコイルの直流抵抗=180Ω、フルスケール時(目盛り板5A位置)の電流値=0.75mAのデータが得られた。 これらのデータから分流抵抗値を計算し、500mAフルスケールの直流電流計に改造する。 つまり、目盛板の読み取り数値を100倍して単位をmAに読み替える方法である。

《改造電流計の接続図》

 内部抵抗180Ω、フルスケール位置に於けるメーター電流値0.75mAから分流抵抗値を計算すれば、

 分流抵抗値=180×0.75÷(500−0.75)≒0.27(Ω)

となり、0.28Ω程度から校正を試みる。100Ωの可変抵抗器は温度補正に使用するつもりであったが 、少し抵抗値が大き過ぎて役に立たないようである。
《デジタルテスターとの指示値比較表》

 校正終了時、デジタルテスターとの指示値を比較したが、100mAから500mAの間は2%以内の誤差である。 2.5級のメーターであることを考えれば上出来である。しかし、100mA未満は誤差が多いので使用しない方が良い。 また、デジタルテスターの指示値がどこまで信頼できるかも不明であり、正確を期するためには精密計器で校正する必要があるが、アマチュアの測定にはこの程度でも、十分使用可能である。

《改造前の5A交流電流計》

 昭和54年ごろの製品と思われるが、動力制御盤のモーター電流監視用に使用されていた。 赤色の指針は標準値にセットする。また、目盛りは手書きされていた。

《内部の変流器(CT)及び整流基板》

 変流器の1次側は1.2mm銅線をパラにして4回巻き、2次側はダイオード4個と電解コンデンサーでブリッジ整流し、電流計へ送られている。

《分流抵抗仮取り付け》

 変流器と整流基板を取り外し、空いたスペースに分流抵抗を取り付ける。 写真は0.14Ω(5W)を2本直列(0.28Ω)にしたものを分流抵抗として仮接続し、調整中である。

《500mA直流電流計完成》

 蓑虫クリップ付きリード線を取り付け、アルミパネルに取り付けて、500mA直流電流計が完成した。 主に出力管のプレート電流調整用として使用しているが、デジタルテスターと併用し、電流と電圧が同時に測定できることは、アンプの調整時に大変便利である。
 なお、0点をわざとマイナス方向へずらして、100mA以上における指示誤差を少なくしている。 つまり電流値0のとき指針はマイナス10mA付近を指しているが、100mA未満を使用しなければ不便は感じない。

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