雑 音 歪 率 計 奮 闘 記    


この歪率計は平成21年12月に分解し、ザルツァー型低周波発振器 と 雑音歪率計に変わりました。

 私が長年愛用している自作真空管式雑音歪率計について苦労話である。  製作してから20年あまり経過したが、その間、幾度機嫌を損ねたことか、数え切れない。 これほど神経質な測定器は他にないであろう。トランスを嫌い、ノイズも嫌い、おまけに振動も嫌う。 真空管の選別も大切で、幾度差し替えたことか。結局、最初から変わっていないのは顔だけであり、内部はほとんど組替えた。 電源を別ケースに分離して定電圧回路を組みこみ、ヒーターをすべて直流点火に変更、そのためトランスも交換、調整用のVRを交換等々、内部配線を何度やり直したことか、それでもメーターのゼロ付近で指針がフラフラ揺れてあざ笑っているかのようであった。 先日、思い切ってメーター指示部を組み替えたところ、指針のフラフラがとまった。 久しぶりの上機嫌である。どうやらメーターの手前の電解コンデンサー不良が原因であったようである。 残留歪も0.01%付近まで下がっていた。 (平成16年3月に0.4%レンジを追加し、電流帰還を施して指示メーターの直線性を改善した。)
 まだ当分の間、現役で働いてもらわねばならないので、ご機嫌取りが続くことになるであろう。
 参考までに、この歪率計は「パワーアンプの設計と製作」第2巻(武末数馬氏著)に掲載されていた回路図の低周波発振器部分をザルツァー型に変更したものである。振幅安定用にナツメ球を使っている が、普通に電気店で売られている常夜灯用の球である。何個か購入し(余分は他に使えるので無駄にはならない)一番低歪となるものを選別して使用する。 回路は下図の通りであるが、内部配線をそのまま図面にしたもので、細かい部分は原設計と違っている。
 今では「バリコン」などは入手困難ではないだろうか。まだ製造しているのであろうか。 この歪率計のバリコンは、古い5球スーパーラジオから取り外したものを2個、真空管式FMチューナーに内蔵されていたものを1個使用している。 いずれも30年以上前の製品である。
 高性能パワーアンプ製作には歪率計が必需品である。今は昔ほど高価ではなくなって来たので(それでも15万円ほど)購入可能であるが、愛着のあるこの歪率計のご機嫌を伺いながらいつまでも使いたいと思っている今日この頃である。

 先日、30年間使用してきた6267の1本のヒーターが断線した。交換して調整中に電源電圧が不安定であることに気が付き、新たに電源部を製作した。 定電圧回路に使用していた6GW8は複合管で便利ではあるが、3結にした場合の内部抵抗が大きい。そこで、6CW5と6AU6に交換し、電源トランスは手持ちの中からタンゴLH−150を使用した。 B電圧が少し高くなったので各部を調整し、最終的に残留歪率は0.007%程度まで下がって大満足である。詳しくは回路図を参照。 (平成18年1月12日)


雑音歪率計前面
電源部





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