低 周 波 発 振 器   平成19年2月19日  



 この低周波発振器は50年近く前に私が最初に自作した測定器である。内部は改造を重ねているが、外観はダイヤルパネルを変更した以外はほとんど当時のままである。 外観、内部はとてもお見せできるような代物ではないのであるが、周波数目盛板を苦労して製作した思い出がある。
 発振回路はウィーンブリッジ型である。V1には高gm管の6EJ7を使っているが、6BX6等が使用できる。 とは言っても、今ごろ真空管式低周波発振器などを作る人はいないと思うが、今しばらく、私の思い出話にお付き合い願いたい。
 製作の際、発振器用のサーミスターSTT−300が入手出来なかったため、手紙で製造元にお願いして送っていただいた。 1ヶ月以上待った記憶があるが、今では考えられないことである。
 STT−300型サーミスターは、さすが発振器用と銘打ってあるだけのことがあり、周波数対出力電圧は非常に安定していたが、残念ながら、数年前に誤結線で壊してしまった。 現在は、振幅安定に表示灯用電球(140V5W)2個を使用している。STT−300と違って、低周波での歪率は低いが、出力電圧が周波数で変動し少々使いづらくなってしまった。 使用の主目的が周波数特性測定であるから、歪率よりは周波数対出力電圧が安定していることのほうが大切である。

 平成17年3月に、千葉県のSIさんからSTT−300を送っていただいた。早速に取り付けたところ、18HZ〜200KHZの範囲でほぼ±0.1dBと非常に安定した。 これで使い勝手が良くなった。送っていただいたSIさんに感謝している。(平成17年3月26日)

 STT−300の使用により周波数対出力電圧は安定したが、周波数の精度が良くなかった。そこで周波数ダイヤルを自作する事にした。 ダイヤル指針、目盛り板、前面パネル枠等、全て自作である。上の写真参照。 その結果、周波数精度をほぼ±1%以内に収めることが出来、非常に満足出来る状態となった。 もうしばらくは使用できそうである。(平成17年6月1日)

 平成17年7月に、電源部を分離する再改造を実施した。 ヒーターをすべて直流点火に変更するためには最低6.3V2.5A以上の巻線が2組必要であるが、使用したトランスは6.3V3A、6.3V2A、5V2Aの3回路だけである。 2A巻き線の容量が不足しているが、長時間使用してもトランスの発熱はほとんどなく安心した。 次の写真は改造後のものである。電源トランスを分離したことにより、60HZの出力電圧が安定した。 なお、B電源にチョークインプット方式を採用しているが、単に整流後の直流電圧を低くするためであり、250Vタップがあればコンデンサーインプット方式で良い。

 平成19年1月発振周波数を10HZ〜1MHZ(6バンド)に改造した。しかし、1MHZまで安定して出力することは至難の業である。 500KHZを超えた辺りから、VRの回転位置、出力切替ATの位置により出力レベルが激しく低下する。 これでは1MHZまで周波数特性を測定することは到底不可能である。 そこで、真空管の配置の変更、配線方法の変更、シールド板の取り付け等の大改造を行った。 そのためバリコンを除く他の部分は全て分解し、シャーシの加工も行った。回路は武末氏設計を参考にしたが、主な変更点は以下の通りである。
  1. 発振器部初段のプレート負荷抵抗を10KΩに変更
  2. 次段のプレート負荷抵抗を15KΩに変更
  3. 出力段前段のプレート負荷抵抗を22KΩに変更
  4. 出力調整用VRを10KΩに変更し、シールドする
  5. 出力レベル切替ATの抵抗値を1/3の値に変更すると共に挿入場所を出力段の後とする
  6. レベル切替ATの後に5814A(パラ)のカソードフォロアーを追加
  7. 高域補正用CRの値を調整
  8. 電源部は別ケースであるから1点アース方式を取りやめる
以上の変更により各出力レベルにおける1MHZの減衰を1dB以下とすることが出来た。1MHZを超えると減衰が大きくなるが、出力インピーダンスをもっと低くしなければ無理である。詳しくは回路図参照。

 平成23年7月に電源トランスを特注し電源部を新たに製作した。詳しくは回路図参照。



シャーシー上部


内部配線


<電源部前面>                              <電源部背面>


電源部内部配線

 《 スペック 》

   発振周波数帯域 10HZ〜1MHZ(6バンド)
   最大出力電圧  25V
   出力波形    正弦波、矩形波



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