6B4G AB1級PPアンプ  平成28年3月23日 


 6B4G AB1級PPアンプ


《 はじめに 》
 今年2月にKMQ−60のケースを再利用して自作した6GA4PPアンプが気に入ったスタイルに仕上ったので、新たにKMQ−60のシャーシーを入手してこのアンプを自作した。

《 使用部品 》
 使用したシャーシーはアルミ天板に傷が多数あり、本体にも錆が発生していた。 そこで、アルミ天板はシルバーメタリック塗装、本体、底板には黒つや消し塗装をした。
 OPTはタンゴCRD−5、電源トランスはラックス8A54を使用したが、どちらも錆が浮いていたのでサンドペーパーで処理してから黒つや消し塗装をした。 チョークコイルは断線していたラックス4605の中身を同じラックス製0.9H260mAに交換して使用した。
 使用球はEF−86、12BH7A、出力管にはシルバニア製6B4Gである。 この6B4Gは2A3のヒーターを6.3Vに変更しただけではなく、形状もG管ではなくGT管である。 さらに、ヒーターは傍熱型で管内でヒーターとカソードが接続されている。 また、この球はスクリーングリッドを内部でプレートに接続した構造で、6AV5を改造したものではないかと思われる。
 下の動作例は6B4Gであるが2A3とは微妙に異なっている。プレート特性図も不明である。


《 回路構成 》
 初段はEF−86の3極管接続、位相反転段は12BH7Aによるカソード結合型とする。
 6B4Gの固定バイアス動作例ではP−P間3KΩ負荷、プレート電圧325Vの条件で最大出力15Wとなっている。 PP間5KΩのCRD−5では最大出力が少し低下すると思われるが、歪率は低くなって好都合である。
 B電源は260Vを両波整流してB電源電圧329Vを供給した。 バイアス用マイナス電源は6.3V巻き線を直列にした12.6Vを両波6倍圧整流してマイナス82Vを供給した。
 無信号時、6B4Gのプレート電圧324V、バイアス電圧−68V、プレート電流は38mAでプレート損失は約12.3Wに設定した。 動作例よりもわずかに控え目である。
 6B4Gは管内でカソードとヒーターが接続されているため、プレート電流測定用の低抵抗はカソード側に取り付けできないので、今回はプレート側に挿入した。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZにおける最大出力は入力0.78Vで15Wが得られた。OPTの損失を考慮すれば動作例を少し上回っている。
 20HZにおける最大出力は中域の60%程度まで低下している。 CRD−5の定格では15W(40HZ)23W(50HZ)となっているので、20HZではこの程度かも知れない。 NFBは9dB、残留雑音はLch0.3mV、Rch0.2mV、DFは6であった。
 周波数特性では高域のピークやディップは小さく、200KHZまではなだらかに減衰している。 10KHZ矩形波応答も良好である。 クロストーク特性はR→Lで高域が少し悪化しているが中域では80dB以上取れているので問題ないと思われる。
 10KHZの歪率データが100HZ、1KHZと比較して悪いが、1Wで0.05%、10Wで0.4%未満に収まっている。

《 その他 》
 VR周りの配線により、高域のクロストークが悪化する場合があるので注意が必要である。無造作に配した場合と比較して20dB以上改善された。
 KMQ−60のシャーシーを使ったアンプはボンネットがなくても見栄え良く仕上った。



内部配線



背  面

inserted by FC2 system