6GB3APPアンプ   平成24年2月22日 


6GB3APPアンプ


《 はじめに 》
 平成23年10月に名古屋のH田氏から多数の水平出力管を頂いた。 その中の6BQ6GTB(6CU6)4本を使ってPPアンプを自作したのであるが、6BQ6GTBの1本が劣化していて片chの最大出力がもう一方の7割程度しか得られなかった。 そこで、頂いた中にあった6GB3A(TEN)に変更して製作した。

《 使用部品 》
 OPTは山水SW15−8、パワートランスはタンゴLH−150、CHコイルはノグチPMF−228H、ケースはラックスマンKMQ−60を分解したものを使用した。

《 回路構成 》
 初段は12AU7AによるSRPP、位相反転段も12AU7Aカソード結合型である。 出力段は6GB3A(TEN)のビーム管接続とし、スクリーングリッドは6AQ5(3結)とZDで安定化して供給した。
 プレート電圧266V、SG電圧103Vにおける最適負荷抵抗値はPP間4KΩ付近にある。 そこでSW15−8の2次側16Ω端子に8Ωを接続し1次側4KΩとして使用した。 PP間8KΩで使用する場合はSG電圧を60V程度まで下げればさらに低歪アンプになるが、最大出力は12W程度まで下がってしまう。
 SG電圧の決定法については「水平出力管の活用法」を参照されたい。
 バイアスは−17.5V前後であるから、かなり高感度アンプである。
 使用した電源トランス(タンゴLH−150)はダイオード整流コンデンサー入力時における直流出力電流が140mAであるため少し不足している。 そこで電圧調整も兼ねてCHインプット方式を採用した。 これで直流出力電流は235mA(150×1.57)程度までとり出すことができる。 使用したPMF−228Hはチョークインプット用ではない上にインダクタンスは2Hしかないが、うなりの発生もなく問題なく使用できた。 

《 最大出力、測定結果 》
 入力0.39Vで18Wの最大出力が得られた。入力感度が高すぎて少々使い辛い状態である。 周波数特性ではRch180KHZ付近にピークが発生しているが、以前製作したEL−34(T)PPの時と同じであることからOPT特性の不揃いと思われる。
 CHコイルとLCH初段球の間隔が1cmしかないため、LCHの残留雑音が少し多く、小出力時の歪率も少し悪くなっている。 DF値は2.3〜2.5、残留雑音はLCH0.75mV、RCH0.35mVであった。
 容量負荷時の10KHZ矩形波応答はあまりよくないが、負荷解放でも発振には至っていない。

《 その他 》
 6GB3Aの許容プレート損失は13Wで、水平出力管としては初期の小型管であるが、SG電圧を適度に設定すればかなりの大出力が得られる。
 ただし、高gm管で寄生発振を起こしやすいのでプレートにLR回路、コントロールグリッドに3KΩ以上を挿入するなどの対策が必要である。 このアンプでも1KΩでは寄生発振を起こしたので4.7KΩに変更した。

《 平成24年2月改造の内容 》

 電力感度が高すぎて扱い難い状態であったので、初段カソードパスコンを撤去し、NFBを数dB増加して電力感度を少し落とした。 また、位相反転段の共通カソード抵抗を15KΩから20KΩに変更した。この改造により、入力0.79Vで18W強の出力となった。また、DFは3.5〜4に増加した。  改造前の 回路図 と 測定データ を参照されたい。



内部配線



背  面

inserted by FC2 system