直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ3号機   平成28年10月14日 


直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ3号機


《 はじめに 》
 このアンプは先月自作した直結カソードCHドライブ2A3シングルアンプ6号機を改造したものである。 改造前に使用していたカソードCH(50H20mA)の特性が芳しくなかったので、電源トランスを変更し、カソードフォロアードライブに改造した。

《 使用部品 》
 電源トランスをLUX製8D32に交換、カソードCHを撤去する。カソードフォロアー段は12AU7パラを12AX7のパラに変更する。 その他の部品は流用する。

《 回路構成 》
 使用した8D32のB電源電流容量が130mAのため、初段、カソードフォロアー段の電流は極力少なくしなければならない。 そこでカソードフォロー段を12AX7に変更した結果、全電流を124mAに抑えることができた。定格の約95%である。
 8D32は倍電圧整流仕様のため、ダイオード整流にすれば6CA4が余ってしまうので、ダイオードと整流管のハイブリッド構成とする。
 カソードフォロアー段用のマイナス電源は35Vと6.3Vを直列にした41.3Vを半波3倍圧整流して供給する。
 2A3のグリッド(カソードフォロアー段カソード)はプラス1.5〜1.8Vとなり、前作よりも4.5V程度低くなるので、2A3のカソード抵抗を800Ωに減じる。 それにより2A3のバイアス電圧は左CH43.7V、右CH45.7Vとなり、左右で差がある。ビンテージ管では致し方ないと思われる。
 OPT2次側を16Ω端子に8Ωを接続し、1次側インピーダンスを2.5KΩに変更する。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.65V時に最大出力4W強が得られた。OPTの定損失が増加した影響で最大出力が少し低下した。
 
 周波数特性では100KHZ以上でディップとピークが見られるが、高域特性はかなり改善された。 容量負荷時の10KHZ矩形波応答も良好である。
 左右の利得が少し違っていたので、NFB量を調整し、LCHは5.3dB、RCHは4.8dBと変則的となった。 そのためDF値も左CH:4.3、右CH:4.0と異なっている。 無信号時のプレート損失は左CH14.4W、右CH14.9Wで規格内に収まっている。

《 その他 》
 残留雑音は交流点火の割には0.3mVと優秀である。 カソードCHを取り去った効果で少し低域特性が改善されたが、シングルアンプでこれ以上を望むことは無理と思われる。
 2A3の負荷抵抗は2.5KΩが標準であるが、A2級動作の場合はサイン波形の上部が先にクリップを開始するが、クリップ波形は丸みを帯びている。 直熱管シングルアンプの音が耳障りではない理由はこの辺りにあるのかも知れない。



背  面


内部配線








LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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