直結カソードフォロアー50CA10シングルアンプ2号機 平成26年5月3日 直結カソードフォロアー50CA10シングルアンプ2号機 《 はじめに 》 直結カソードフォロアー50CA10シングルアンプ1号機を自作してから6年あまりが経過し、トランス類は他のアンプに流用してしまった。 そこで新たに2号機を製作することにした。 《 使用部品 》 OPTはノグチPMF−15WS、B電源とヒータ電源には40年前のカラーテレビに使用されていた電源トランスを使用し、マイナス電源用として医療機器から取り外した小型トランス(2次側20V200mA×2)を使用した。 また、チョークコイルにはPMC−1018HとPMC−1010H2個の計3個を使用した。 シャーシーは奥澤のO−8に側板を取り付けたものに底板を組み合わせて使用した。 出力管はもちろんNEC製50CA10であるが、プレートが黒色ではなく灰色の製品であり、製造時期が比較的新しいと思われる。 初段にはシルバニア製とNEC製の6267、カソードフォロアー段にはGE製とRCA製の12AU7を使用した。 《 回路構成 》 初段は6267を5極管接続で利得を稼ぎ、12AU7をパラにして直結カソードフォロアーとし、カソード抵抗として定電流ダイオード(E−452)を使用した。 出力段は固定バイアスとし、出力管プレートから初段カソードへの負帰還を採用した多重ループ帰還方式とした。 これにより、出力管内部抵抗が低下し、少ないNFBでもDF値をある程度大きくすることができる。 電源部はCHインプット方式を採用したが、コンデンサー入力方式でも電流容量に不足はなく、電圧調整が主目的である。 さらに左右のB電源にCHコイルを挿入し、低域のクロストーク改善を図った。 しかしながら、CHコイルとOPTの内部抵抗の影響で最大出力時の出力管プレート電圧が240Vに下がってしまったことは予定外である。 無信号時における50CA10のプレート損失は20W強で許容損失の68%に抑えている。 この球はプレート許容損失30Wであるが25W程度で少し赤くなるのであまり無理は出来ない。 下表はメーカー発表のシングル動作例であるが、この例でもプレート損失は20Wに抑えてある。 |
プレート電圧 | 250V | 250V |
グリッド電圧 | −22V | |
カソード抵抗 | 200Ω | |
入力信号電圧 | 15.5V | 14V |
プレート電流(無信号時) | 80mA | 90mA |
プレート電流(最大信号時) | 95mA | 95mA |
負 荷 抵 抗 | 1500Ω | 1500Ω |
出 力 | 6W | 5.5W |
歪 率 | 7.5% | 7% |
下図は50CA10の平均プレート特性である。この図にプレート電圧240V、バイアス電圧−22Vを起点として2.5KΩのロードラインを記入して最大出力を計算した。
上の動作例では負荷抵抗1.5KΩとなっているが、A2級動作では少し大きくした方が良いと思い2.5KΩ負荷とした。その方が歪の点からも好結果が得られる。 A2級動作時は−50Vから+5V(実効値19.5V)付近までドライブしたとして計算した。 A1級動作時の最大出力 = (370−95)×(0.158−0.015)÷8 = 4.92(W) A2級動作時の最大出力 = (389−52)×(0.178−0.007)÷8 = 7.2(W) A1級動作ではプレート電圧が10V低いこと、負荷抵抗を2.5KΩとした影響で5W弱の最大出力である。 A2級動作では46%増加して7.2Wであるが、OPTの効率を考慮すれば6.5W程度に低下すると思われる。 《 最大出力 》 入力電圧0.88Vで6.6W(1KHZクリップ開始)の最大出力が得られた。 OPTの効率を92%とすれば、ほぼA2級動作時の最大出力計算値と一致している。 7.2(W)×0.92 = 6.62(W) 《 測定結果 》 NFB量は内外側ループ合わせて11dB程度なので、高域補償回路はOPT2次側の0.22μ−18Ωの直列回路(ゾベル)と負帰還抵抗並列の390PFであるが、容量負荷時の矩形波変化は比較的少ない。 しかし、10KHZの波形はあまり綺麗とは言えない。 周波数特性上では80KHZでマイナス3dB、それ以上の周波数では250KHZ付近にディップが見られるが、まずまずの特性である。左右で差がみられるがOPT特性のバラツキと思われる。 初段と出力管で歪の打消し動作を行っているので、6267のスクリーン電圧は左右で10V程度の差を生じているが、打ち消し効果により1KHZと10KHZの歪率は良好である。 100HZ歪率があまり良くない(特にRCH)が悪い原因は不明である。 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約60%が得られているので、シングルアンプとしてはまずまずの低域特性である。 また、クロストーク改善のため電源のCHコイルを2段にした結果、20HZ以上では良好な結果が得られた。 中域で平坦になっている原因は残留雑音の影響を受けているための測定限界値であり、実際はもっと低値を示すはずである。 DFは5.8(ON/OFF法)、残留雑音はLch0.4mV、Rch0.35mVであった。 《 その他 》 現在、50CA10のオークション落札相場は高騰しているが、使用した球はほぼ新品であり、あと2本の予備球が残っているので、しばらくは安心して使用できる。 内部配線 背 面 |
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