直結カソードフォロアードライブ50CA10シングルアンプ 直結カソードフォロアードライブ50CA10シングルアンプ このアンプは平成22年1月に分解し、OPTを流用して5998Aシングルアンプを製作した。 《 はじめに 》 平成19年8月、幸運にも12本の50CA10が入手できたので、その中の2本を使用して30年振りにシングルアンプを製作することにした。 しかし、回路は簡単なシングルアンプであっても各段の回路定数決定はなかなか難しく、かなり思考錯誤を繰り返さねばならなかった。 《 使用部品 》 パワートランスはトランスメーカーに見積もりを依頼したところ、市販品と比較しても安価で、送料込み8000円弱であったので特注した。 スペックは回路図参照。出力トランスはタンゴ製U−808、CHコイルは同じくタンゴ製CH−5−200、ケースはリード製S−4である。 購入した部品はPTとシャーシーのみで、あとは全て手持ち品を利用した。 《 回路構成 》 シングルアンプは初段に12AX7を使用した2段構成ではゲインが少し不足する。しかし、5極管を使用しても出力段のグリッドリーク抵抗を大きく出来ないため苦しい動作条件となる。 そこで直結カソードフォロアードライブを採用することにしたが、ここで問題が発生した。100〜150Vのマイナス電源用の巻き線が無い。 ブリッジ整流回路から取り出せるマイナス電圧は50〜60Vが限度である。 幸い、12V0.5Aの小型トランスの手持ちが有ったので、6.3Vを直列にして18.3Vとし、これを5倍圧整流してマイナス120Vを確保した。 最初、初段のプレート抵抗100KΩ、スクリーングリッド抵抗510KΩに設定していたが、歪み率が良くない。 そこでスクリーングリードにブリーダー抵抗を取り付け、スクリーン電圧を下げたところ歪み率が改善された。 最終的にプレート抵抗220KΩ、スクリーングリッド抵抗は220KΩ、それに61KΩ(Lchは87KΩ)のブリーダー抵抗を接続した。 その結果、スクリーングリッド電圧はRch:46V、Lch:62Vとなったが、この状態でうまく出力段との歪み打消しがなされている。 《 最大出力、測定結果 》 最初の計画ではプレート電圧290V、プレート電流95mAで最大出力10W程度を目論んでいたが、暗闇でみると50CA10のプレート中心部が赤くなっていた。 プレート入力27.5Wでまだ余裕と思っていたが、これでは寿命が短くなりそうである。 仕方がないのでプレート電圧280V、プレート電流84mA(プレート入力23.5W)に設定した。 このため最大出力は少し低下したが、まだプレートの中心部がほんのりと赤い。50CA10の最大プレート損失30Wは少し疑わしい。 出力5.5Wを過ぎた辺りからサイン波形の片側先端が丸くなり始め、A2級動作に入っていることが判る。はっきりクリップと確認できる出力は約6Wである。 U−808の定損失は0.65dB(効率86%)であるから、OPT1次側換算出力は7.98Wとなり、50CA10の規格6Wを大きく上回っている。 これはカソードフォロアーの効果と思われる。なお、NFBは11dB、残留雑音はRL共に0.15mVである。 500KHZ付近に小さなピークが発生している。積分型位相補償回路の定数を変えれば改善されるが、10KHZ歪率がかなり悪化するので最小限の補償とした。 《 その他 》 50CA10、6267いずれも特性のバラツキがかなり大きく、組み合わせ如何によっては歪み率がかなり悪化するので、手持ちの中から選別して使用した。 使用した50CA10のうち、1本の頭部形状がかなり扁平である。(写真参照)頭部はお椀を伏せた形になっているものが一般的と思われるが、製造時期が異なっているためであろうか。 リード製S−4は板厚1.2mmと強度的には十分であるが、下面の折り返しが前後だけしか無く、しかも幅が狭い。これではゴム足を取り付けるスペースが無いのでアルミ板を加工して四隅に取り付けた。 平成20年12月に一部変更した。改造点は次の通り。
スクリーン電圧による歪打ち消し効果の詳細はシングルアンプの歪打ち消しを参照されたい。 背面 内部配線 |
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