6V6GTロフチンホワイトアンプ 3例   平成25年3月21日 


6V6GTロフチンホワイトアンプ


《 はじめに 》
 このロフチンホワイトアンプは
6GA4ロフチンホワイトアンプの出力管を6V6GTに変えて試作したものである。 次の3通りについて比較実験を行った。
(1)OPTにPMF-10WS(ハイライトコアー)を使用した試作機
(2)OPTをPMF-7WS(オリエントコアー)に交換してた試作機
(3)上記アンプの回路定数を見直した試作機


(1)OPTにPMF-10WS(ハイライトコアー)を使用した試作機

《 回路構成 》

 初段は12AX7SRPP、SGグリッドを+Bに接続、カソード抵抗を2.51KΩ(1KΩ10W×2+510Ω5W)から2KΩ20W(1KΩ10W×2)に変更した。 6V6GTの方が電力感度が高い分、NFBが増加している。 また、プレート電流が増加した影響でプレート電圧が少し低下した。

《 最大出力、測定結果 》
 入力0.9Vで最大出力は4W(クリップ開始)が得られたが、6V6GTはプレート電圧250V、SG電圧250V時の最大出力が4.5Wであるから、OPTの損失を考慮すれば妥当な値である。 6GA4の場合はグリッド電流の影響が改善され、CR結合時の最大出力を少し上回っていたが、6V6GTではCR結合時とほぼ同じ出力である。
 NFBは内側ループ、外側ループ合計で15.8dBが掛かっている。DFは5.7(ONOFF法)、残留雑音は両chとも0.1mVであった。
 矩形波応答、周波数特性は6GA4の場合とほぼ同じ傾向を示している。 ビーム管接続のため低域のクリッピングレベルが少し低下しているが、30HZ以上ではほぼ同じである。 また、歪率は少し良い値を示しているが、NFBが4.8dB増加している影響と思われる。

(2)OPTをPMF-7WS(オリエントコアー)に交換した試作機

《 回路構成 》

 回路構成はOPTをPMF-7WSに交換したのみで、他の部分は全く同じである。

《 最大出力、測定結果 》
 入力0.89Vで最大出力は4.5W(クリップ開始)が得られたが、トランスの定損失が下がったこと、電源電圧が少し高かったことが影響してると思われる。
 回路定数が同じであるからNFB量、DF値、残留雑音等に変化はない。
 矩形波応答、歪率特性はかなり改善されているが、OPTのコアーボリュームが小さくなているため10HZ付近の最大出力は低下している。 周波数特性でも高域が伸びているが210KHZ付近に大きなディップが発生していることが気がかりである。

(3)上記アンプの回路定数を見直した試作機

《 回路構成 》

 高域補償回路を追加変更し、NFBを16Ω端子ではなく8Ω端子から戻すことにより、2dB程度NFBを減じた。また、初段SRPP下段カソード抵抗を3KΩとし、バイアス電圧を少し深くした。 さらに、デカップリング抵抗を下げた影響で初段出力点の電圧が上昇した。そのため出力管プレート電流が増加したのでカソード抵抗を2.18KΩに変更した。
 SRPP下段プレートとアース間に50PF,10KΩの積分型位相補償回路を挿入し、NFB抵抗並列のコンデンサーを620PFに増量した。(微分型位相補償)

《 最大出力、測定結果 》
 入力0.76Vで最大出力は4.1W(クリップ開始)が得られた。最大出力の低下はカソード抵抗を増加した影響で実効プレート電圧が低下したことが原因と思われる。
 8Ω端子からNFBを戻したことによりNFB量は13.8dBに減少し、DF値は4.5に低下した。残留雑音に変化はない。
 矩形波応答、周波数特性はかなり改善されているが、歪率は少し悪化している。特に10KHZの歪率は高域補償回路を追加した影響で悪化の割合が大きい。 210KHZ付近の大きなディップは改善されていない。

《 まとめ 》  やはり、ハイライトコアーとオリエントコアーでは測定データ上歴然とした差が見られる。しかしながら、再生音にほとんど差は感じられない。


OPTをPMF-7WSに交換した6V6GTロフチンホワイトアンプ

内部写真
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