(1)保持力(抜けにくさ) |
ホスピタルグレード 15〜60N |
一般用(3P) 15〜60N |
一般用(2P) 10〜60N |
3Pについてはどちらも同じ規格である。2Pについても刃が2本 と3本の違いによるものと考えられる。刃をはさむ力は同じと思われる。 |
(2)温度上昇(刃と刃受の部分) |
ホスピタルグレード 30℃以下 |
一般用(2P、3P) 30℃以下 |
一番問題となる接触抵抗に関係する重要な部分の規格であるが、ど ちらも同じである。接触抵抗に関する規格は存在しない。 |
(3)接地極の接触抵抗(負荷電流が流れる部分ではない) |
ホスピタルグレード 10mΩ以下 |
一般用(3P) 50mΩ以下 |
これは接地極に対する規格であり、通常の電流が流れる部分の規 格ではなく、大地アースの接続部分についての規格である。 |
(4)アンモニア耐久試験 |
ホスピタルグレード 試験時間72時間 |
一般用(2P、3P) 試験時間24時間 |
試験時間に差がある。 |
(5)耐異常引抜試験 |
ホスピタルグレード 実施する |
一般用(2P、3P) 実施しない |
ホスピタルグレードにのみ規定された試験であるが、縦横方向の力 に対する強度試験であり、電気的特性には関係ないものと思われる。 |
以上のごとく、ホスピタルグレードのコンセント、プラグと一般品に関するJIS規格では、アース端子の接触抵抗、アンモニアガスに対する耐性、耐異常引抜試験の部分に違いがあるが、負荷電流が流れる部分(刃と刃受)についてはまったく同じ規格である。 「接地極の接触抵抗10mΩ以下」の部分が、負荷電流が流れる部分についても接触抵抗が低いと誤解されているのではないだろうか。 有名な電線販売店でさえ、そのHP上で「ホスピタルグレードの接触抵抗は1/4以下」と、間違った表記をしている。 また、手術室などでは、人がコードに引っかかっても簡単に抜けない対策(耐異常引抜試験)等が要求されているが、これは真っ直ぐに引き抜くのではなく、縦横方向に引き抜こうとした場合の話である。 真っ直ぐに引っ張れば、ホスピタルグレードも一般品も同じ力で抜けるとJIS規格からは読み取れる。 したがって、ホスピタルグレード品と一般用の電気的特性は、通常の使用状態ではほとんど同じであり、オーディオ機器に使用した場合の音の違いを感じることは難しいと考える。 この考え方に異を唱える方が多いことも事実であるが、少なくとも、私には判断できない。 ただ、刃と刃受の部分、あるいは電線接続部分に特殊なメッキ処理を施したもの(非常に高価)は、その部分についての接触抵抗減少効果はあると思うが、果たして音質の改善にどれほどの効果があるであろうか。 心理的効果は否定しないが、電源のインピーダンス、あるいは機器に内臓されているヒューズの接触抵抗、あるいはヒューズ自体の抵抗値等を考えればあまり効果はないと考える。 またACインレットの使用例が多いが、いくら特殊なメッキ処理を施したACインレットであっても接触抵抗は0ではない。 余分な接触点は1箇所でも少くするべきであり、直接接続が優れている事は明らかである。 ちなみに、3Aのガラス管ヒューズの抵抗値は48mΩ、5Aでは27mΩとのデータ(ホルダーの接触抵抗を含む)がある。 また、電源のインピーダンスにいたっては200〜500mΩである。詳しくは、 「商用電源のインピーダンスについて」、 「ガラス管ヒューズの功罪」 を参照されたい。 接触抵抗を少しでも小さく抑えたいのであれば、2P15Aではなく2P20A、あるいは2P30Aコンセントを使用した方が効果が期待できるのではないだろうか。 なお、埋込コンセントの交換には資格が必要である。私は電気工事士免許を所持しているが、一般の方は電気工事業者に依頼する必要があり、素人工事は接触不良、火災の原因となる場合があるので注意が必要である。 なお、JIS規格の詳細については、 「JIS規格」 にて確認されたい。 一般用(配線用差込接続器) JIS C8303 ホスピタルグレード(医用差込接続器) JIS T1021 JIS規格番号検索 JIS規格番号欄に JISに続いて C8303 または T1021 を入力して検索する。あとは画面の指示に従えば見る事が出来る。(PDFファイル)なお、試験の方法については C8306 に記載されてる。 多くの方にホスピタルグレードについて、もう一度考えていただきたいと願っている。 |